2011-01-01から1年間の記事一覧

李纓『靖国 YASUKUNI』

靖国 YASUKUNI [DVD] 出版社/メーカー: TOブックス 発売日: 2010/09/24 メディア: DVD クリック: 23回 この商品を含むブログ (4件) を見る DVDで李纓監督のドキュメンタリー、『靖国 YASUKUNI』。 刀匠とのインタビューでは、監督の日本語がつた…

マレーシア中国語映画のこれから

マレーシアの星洲日報のサイトに「大馬中文電影闖出路」として、マレーシアの中国語映画の特集記事が出ている。 大馬中文電影闖出路(一)轉折的商機(12/26) 大馬中文電影闖出路(二):現實vs夢想(12/27) 大馬中文電影闖出路(三):外援互補不足(12/2…

十千

中国語で時々1万のことを“十千”ということがあるが、これまでに私が気付いた範囲では映画でマレーシア華人の台詞として出て来た程度だった。てっきり英語の影響かと思っていたが、どうやらずっと昔から中国語に存在する表現らしい。 下は湖北省生まれの作家…

アマド・V・ヘルナンデス『鰐の涙』

フィリピンのアマド・V・ヘルナンデス(Amado V. Hernandez)(1903〜1970)、『鰐の涙』(LUHA NG BUWAYA)読了。大同文化基金の「アジアの現代文芸シリーズ」の一冊。 戦後のルソン島、サンピロンという一時は日本軍に占領された経験を持つ町を舞台…

第12回東京フィルメックス

今年は以下の五作品のみ。配給が決まっていない作品から優先的に観たのだけれど、于廣義『独り者の山』(光棍)を観られなかったのは痛恨。賈樟柯の『我が道を語る』、陳翠梅のパートだけは観たかったけれど、これも見そびれてしまった。『ホウ・シャオシェ…

第24回東京国際映画祭

第24回東京国際映画祭、今年はうまくスケジュールを都合して全部で20の上映を観られた。なるべく様々な地域の映画を偏りなく、と思いながらも、結局アジア映画中心。台湾ものはチケットが取れず断念。中国語のものなら、いずれDVDで観ればいいかと思…

杉本つとむ『馬琴、滝沢瑣吉とその言語生活』

馬琴、滝沢瑣吉とその言語生活 作者: 杉本つとむ 出版社/メーカー: 至文堂 発売日: 2005/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 作家の言語生活という側面から、特に語彙に注目して馬琴の日記を読み解いた書。 現代語のうち「結納」のよう…

七個

90年頃の中国語の教科書を見ていて、“七個”“八個”にはそれぞれ“qi2 ge”“ba2 ge”と“一”同様に第二声に変調させてピンインが振られているのに気付いた。今は規範的には“七”も“八”も変調せず第一声のみで発音することになっている筈だけれど、北京方言では今…

ワン・ビン『鉄西区 第二部・街』

鉄西区 [DVD] 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2013/05/25 メディア: DVD クリック: 2回 この商品を含むブログ (3件) を見る オーディトリウム渋谷にて。 瀋陽の工業地区、鉄西区のうち艶粉街という地域の再開発に伴う立ち退きをとらえたドキュメンタ…

イェジー・スコリモフスキー『エッセンシャル・キリング』

エッセンシャル・キリング [DVD] 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2012/01/28 メディア: DVD クリック: 17回 この商品を含むブログ (18件) を見る 渋谷・イメージフォーラムで最終日に駆け込み。 アメリカの兵士三人が、地雷探知機を手にアフガニスタ…

丟包

司機丟包30陸客 仇匪滅匪 觀光業站第一線(POT) 台湾の〈破報〉を読んでいたら、台湾の観光業者の悪質さを語る文章を発見。しかしどんな観光客に対しても奸計を弄するのではなく、被害甚大なのは“426(=死阿陸)”こと大陸からの中国人観光客である由。 …

兔子

上の記事でも引いた『黒旋風』の用例だが、“兔子”という罵語が気になった。 那天汪大哥给小玉儿在戴春林买了双丝袜,小玉儿喜欢得什么似的,跑出来时,那几个相公还等在门口,妈的,还想勾搭女孩儿家,给我当兔子倒不错哩。 女性的な男性や同性愛の男性を罵…

〜得什麽似的

穆時英の小説にくりかえし“得什麽似的”という強調表現が出てきたのでメモしておく。 他妈的,他哪里管得你这么多,飞似的冲过来,牛奶西施慌了,往旁一躲,一交跌在水里。把汪大哥气的什么似的。可是什么用?汽车一溜烟似的擦了过去,溅了汪大哥一衣服的泥水…

魯迅『傷逝』

Google香港に今日が“魯迅誕辰130週年”と教えられる。この木版画のロゴ、なかなか味がある。残念ながらGoogle日本やGoogle.com は通常ロゴだ。 Google via kwout 魯迅の作品を何か一つ、と「彷徨」に収録された『傷逝』を読んでみた。大学時代に読んだ記憶は…

第21回アジアフォーカス福岡国際映画祭

今年の福岡は全部で18本、すでに観ている『歓待』と、配給の決まっている『ナデルとシミン』、時間の都合がつかなかったタイの『レッド・イーグル』を除いてひととおり観られた。会場まで徒歩10分というところに宿を取ったので、一日に最大5本と効率的…

パク・チャンギョン『浄土アニャン』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭にて。韓国のアニャン(安養)市の歴史をいくつかのテーマに絞り、取材する過程を俳優が再現した(フェイク)ドキュメンタリー。 一つは高麗時代の安養寺の遺跡発掘に関するパート。現在確認されているのは、本来の安養寺の…

アパルナ・セン『妻は、はるか日本に』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭にて。オックスフォード在住の作家クナル・バスの原作を元に、女優としても活躍するアパルナ・センが映画化した作品。 日本の少女ミヤゲ(高久ちぐさ)(物語の開始時には19歳)がインドの雑誌に文通相手募集の公告を出し…

ケルビン・トン『すばらしき大世界』

ファッション撮影専門のカメラマン・阿敏(オリビア・オン)は日本行きを控え、祖母が亡くなって看板を下ろすことになった写真館の片付けに向かう。入口に飾られた思い出の写真を見るうち、そこに映っている人々に写真を返そうと思いつく。阿民(周初明)と…

アドルフォ・ボリナガ・アリックスJr『車の影に』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭にて。 白黒の画面、よく晴れた日のようだが、女がひとりうつろな目で街をさまよい、遊園地で観覧車に乗る場面から始まる。この主人公ノーラ(ジョディ・サンタ・マリア)は夫と小学生の娘サラ(キンベリー・フルガー)と共…

チャン・メン『鋼のピアノ』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭で。こういう作品を「良かった」というのは少々面はゆい気がする、庶民が主役の人情もの。昨年の東京国際でグランプリを受賞しているが、東京のコンペで観る中国映画は私にとって面白いと感じられたためしがなかったので、…

シアオ・ヤーチュアン『台北カフェストーリー』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭にて。会社勤めを辞めた朵兒(グイ・ルンメイ)は台北に念願のカフェを開く。ちょうど無職で家にいた妹の薔兒(リン・チェンシー)が、母の言いつけで手伝いに来る。朵兒は苦心してシックでエレガントな店をデザインするも…

ジェームス・リー『趙夫人の地獄鍋』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭にて。自分たちに危害を加える男(あるいはまだ加えていない男も)を次々に殺し、解体することで家族の絆を強めてゆく母と三姉妹を描いたスプラッター・ホラー。 三姉妹の母親(パーリー・チュア)は、夫の暴力に悩まされて…

頂樓的馬戲團

『冬休みの情景』(寒假)の音楽を左小祖咒と担当した「頂樓的馬戲團」(屋上のサーカス)という上海のバンドが気になって調べてみた。豆瓣の小組(http://site.douban.com/topfloorcircus/)に動画や楽曲がたくさんアップされている*1が、公式サイトかどう…

李紅旗『冬休みの情景』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭一本目、中国の李紅旗(リー・ホンチー)『冬休みの情景』(寒假)。昨年のNHKアジアフィルムフェスティバルでも上映された作品だが、私は初見。 前作の『ルーティン・ホリデー』(黄金周)と基本的なパターンは同じ。固…

ワヒド・ワキリファー『ゲシェル〜ぎりぎり日記』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭にて。 これはかなりきつい映画だった。3人の出稼ぎ労働者の生活を何の説明も入れずに淡々と描いたもので、語り口としてはかなり好きなタイプの作品なのだけれど、スクリーンに映し出されるのは目を背けたくなるような仕事…

ホー・ユーハン『心の魔』(心魔、2009)

DVDでマレーシアの何宇恆(ホー・ユーハン/Ho Yuhang)『心の魔』(心魔/At The End of Daybreak)。 23歳の徳仔(徐天佑)が16歳に満たない少女・盈(黃明慧)*1と交際、少女の両親に強姦罪で告訴すると脅され(未成年者との性行為は合意の上でも強姦…

ジェームス・リー『黒夜行路』

DVDでジェームス・リー(James Lee/李添興)『黒夜行路』(Call If You Need Me)。 黒仔(サニー・パン)が従兄の阿順(ピート・テオ)を頼ってクアラルンプールに出てきたところから物語は始まる。 従兄の妻(彼女?)(蔡恬詩)とその友人モニカ、従…

凝固個大概

“玩個痛快”“看個夠”という表現はよく見かけるが、“凝固個大概”という例はちょっと珍しく思われる。 採取したゴムの樹液を加工する描写。 倒入更大的桶,隔著漏斗,湧入的白色汁液一陣撲鼻的清香。然後一杓杓的勺入並排的尺許長的長方型鐵槽內,蹲下來,逐一…

何蔚庭『ピノイ・サンデー』

DVDで台湾・フィリピン合作の何蔚庭(ウィ・ディン・ホー)『ピノイ・サンデー(台北星期天)』。NHKの共同制作で、2009年の第10回NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映されている。上のDVDの紹介には「莫子儀、張孝全が共演!」と…

ウィリアム・サローヤン『サローヤン短編集』

サローヤン短編集 作者: サローヤン 出版社/メーカー: 成美堂 発売日: 1999/09/01 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る 8月31日はサローヤンの誕生日だそうだ。昔の新潮文庫の古沢安二郎訳『サローヤン短篇集』(The Whole…