中文書籍

劉育瑄『身為在台灣的新二代,我很害怕』

劉育瑄『身為在台灣的新二代,我很害怕』(台北:創意市集、2020) www.cite.com.tw 電子書籍(Readmoo讀墨電子書)にて。 著者の劉育瑄は刊行当時(2020年10月)22歳、台湾生まれで母がカンボジア出身の広東系華人という「新二代」だ。「新二代」とは、台湾…

郝景芳『人之彼岸』

郝景芳『人之彼岸』(北京:中信出版社、2017年) 人は此岸に、AIは彼岸にあり、彼岸を遥かに望むことで此岸を観照する。 ――郝景芳「前言」 「折りたたみ北京」の郝景芳(ハオ・ジンファン)による、AIをテーマにした六篇のSF小説と二篇のエッセイを収める最…

謝裕民『m40』

謝裕民『m40』(シンガポール:新加坡青年书局,2009年) シンガポールの中国語作家、謝裕民(1959生)の中篇小説。主人公「おまえ」は四十歳になったばかりで、子供が二人おり、妻ともほどよくセックスしていて、仕事もまあなんとかなっており、身体には多…

王盛弘編『九歌106年散文選』

王盛弘編『九歌106年散文選』(台北:九歌、2018年) 台湾の「散文」という概念は、日本の随筆やエッセイとは必ずしも輪郭が一致しないように思う。台湾の場合、主な文学賞には必ず「散文」の部門が設けられているため、小説や詩歌とあえて区分することが必…

中国新時期文学精品大系『傷痕』

中国新时期文学精品大系より、谷声应·陈利民编『伤痕』(中国文学出版社,1993年)。盧新華の「傷痕」、茹志鵑の「剪輯錯了的故事」を読もうと借りたものの、期限が来てしまったので返す前に目次を控えておく。 陈建功「飘逝的花头巾」★ 高晓声「陈奂生上城…

張愛玲『小團圓』

張愛玲の自伝的長編『小団円』(北京:北京十月文芸出版社、2009年)再読。 主人公・九莉の最初の恋人は胡蘭成がモデルとされる邵之雍だが、2009年の初読時は、どうしてこんな男と付き合ってしまったのかと不思議だった。既婚者(しかも最初の妻と法的に…

陳芳明『台灣新文學史 下』

昨日に続き陳芳明『台灣新文學史 下』(臺北:聯經、2011)。 女性作家を重視しているのは上巻でも感じたが、下巻では第十七章「台灣女性詩人與散文家的現代轉折」、第二十三章「台灣女性文學的意義」と二章を割いて女性作家をまとめて紹介している。そ…

陳芳明『台灣新文學史 上』

陳芳明『台灣新文學史』(台北:聯經、2011)、黒い表紙の一冊本と赤と黄色の二冊本の二種類のバージョンが出ている(赤は共産党、黄色は猥褻物、黒は内幕雑誌と1954年からの「文化清潔運動」で禁じられた出版物を示す色)が、電車でも読めるように…

唐捐主編『臺灣軍旅文選』

唐捐主編『臺灣軍旅文選』(台北:二魚文化、2006)読了。アンソロジーのテーマには数あるが、軍隊生活を綴った作品ばかりを集めたものは初めて眼にした。あくまで戦記とは異なり、戦闘ではなく兵役が主題だ。 これは詩人の焦桐(邦訳に『完全強壮レシピ…