2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

コリン・ハーディ『死霊館のシスター』(The Nun、2018)

ルーマニアの女子修道院でシスターが自殺する事件が起こり、ヴァチカンから神父と見習い修道女が派遣される。『死霊館 エンフィールド事件』の悪魔ヴァラクのルーツという設定。人間の肉体を乗り物にして、悪魔もどこの土地にでも行けるらしい。 『アナベル …

デヴィッド・F・サンドバーグ『アナベル 死霊人形の誕生』(2017)

孤児院から6人の少女とシスターが野中の一軒家に寄宿することになる。〈死霊館〉シリーズでは残酷描写が多めで、昼の光の下に堂々と出て来る意外性や、恐ろしいものが出る直前の寸止めが続き緊張感が途切れない。 幸福の残骸のような屋敷、愛情あふれる両親…

ジョン・R・レオネッティ『アナベル 死霊館の人形』(2014)

『死霊館』冒頭の呪われた人形のエピソードの拡大版。ウォーレン夫妻が除霊するのかと思ったが、今作には彼らは登場しない。怖さだけでいえば、人形ホラーの恐怖要素を凝縮した『死霊館』冒頭ほどではないかも。 序盤から臨月の妊婦がミシンをかける居間で、…

シューリン・ヨン『教えて学ぶ』(UNTEACHABLE/孺子不可教、2019)

asiandocs.co.jp 進学コースから外れ、職業訓練コース行きが定められた中学生たちを対象に、TR(Tutorial Relationship)を試験導入した学校の一年間。 シンガポールの教育課程はシビアで、小学校卒業時の試験でコース分けがなされる(2024年廃止予定)。成…

ジェームズ・ワン『インシディアス 第二章』(2013)

1は見ずに配信のあった第二章から。続作だがこれだけ見ても話は分かるようになっている。〈序章〉に比べると驚かせ方は穏やかで、悪霊に操られた家族の死闘がクライマックスとなるアクション寄りの展開。 恐ろしい母に苦しめられる話だが、女の心にはもれな…

『テイル・フロム・ダーク2:奇幻夜』(2013)

李碧華原作のオムニバスホラー第二弾。 陳嘉上監督の第一話「枕妖」は女の夢の中に現れる淫魔。やつれてゆくファラ・チャンが色っぽいけれど、香港で外からの視線を気にせず昼間からリビングでセックスできるオーシャンビューのマンションの値段は一体…… 劉…

『テイル・フロム・ダーク1: 迷離夜』(2013)

李碧華原作のオムニバスホラー。 サイモン・ヤム監督・主演の第一話は、納骨堂から骨壺を盗み出して遺族をゆすろうとするが、当の死者が請け出しに来て、身代金を冥紙で支払う話だった。こういうまさかの用に備えてやはり供養の際に冥紙はたくさん焼いておか…

レガス・バヌテジャ『フォトコピー』(Penyalin Cahaya、2021)

www.netflix.com 主人公は厳しい父の管理下にある大学生。ウェブサイト管理を担当している大学の劇団が授賞、そのパーティーで泥酔した姿がSNSに流出し、奨学金の受給資格を失う。しかし写真だけではなく、意識を取り戻した際に着ていたシャツの前後が逆にな…

廖士涵『縄の呪い2』(馗降:粽邪2、2020)

縄の呪い2 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト 中華圏のホラーでは不祥のものは雲南か東南アジアに端を発すると相場が決まっているが、これはタイで薬物密売人が崇拝するという邪神の話。縊死者が出るとその縄を焼却する「送肉粽」という儀式を行うそ…

奚岳隆『呪われの橋』(女鬼橋、2020)

恋人に裏切られて投身自殺した女子大学生の都市伝説がある大学の橋。深夜0時に橋の階段が一段増え、女の霊が姿を現すという。うるう年の2月28日、肝試し動画を配信した直後に5人の大学生が変死する。4年後、その事件を取材しにカメラマンとキャスターが現場…

フランク・ダラボン『ミスト』(2007)

鬱映画としてよくタイトルが上がるので観てみた。しかし一緒に閉じ込められてイヤなのは、狂信者よりも危機時に張り切り出す男たちだなあ、連中の指示に従うくらいならこっそりバックヤードから逃げ出して怪物に食われた方がマシだと思った。とはいえ、自分…

ロッキー・ソラヤ『サードアイ』(2017)

www.netflix.com インドネシアのホラー映画。両親が事故死し、遺された姉妹は社宅を出て、幼い頃に暮らしたジャカルタ郊外の屋敷に移ることになる。しかし妹はあの家には怖いものがいると言い張り、転居を渋るが…… 妹はずっとヘッドホンをつけているので、聴…

バリント・レーヴェース 『森林伐採 -オリンピックのために-』(2021)

asiandocs.co.jp 英題は"Uprooted The Olympic Tribe"。 ドイツ制作のドキュメンタリー。森林伐採の抵抗運動はボルネオのプナン人が有名だが、ここでは東カリマンタンのバハウ人の村、ロング・イスンから伐採された木材の行方を追う。 バハウの人々は、イン…

ナムロン『それぞれの正義』(2018)

原題"One Two Jaga"。 マレーシアで働くインドネシア女性が、契約違反の劣悪な労働に耐えかね、建設作業場で働く兄の元に逃げ込む。兄の雇用者は面倒見のよい人で通っているものの、就労許可のないロヒンギャ難民を働かせ、警察に袖の下を渡して目こぼしして…

サラフディン・シレガー『インドネシア イスラム寄宿学校』(2019)

asiandocs.co.jpアジアンドキュメンタリーズの配信でサラフディン・シレガー『インドネシア イスラム寄宿学校』(Shalahuddin Siregar,《Pesantren》、2019)を鑑賞。 インドネシアの(ジャワにあると思われる)寄宿学校の日常を追う。マレーシアではポンド…

『眠りに生きる子供たち』(2019)

www.netflix.com 2019年スウェーデンのNetflixドキュメンタリー。原題は"Life Overtakes Me"。 「あきらめ症候群(Resignation Syndrome)」というのは2003年から知られるようになった病気で、身体機能に異常は見られないにもかかわらず、活動が低下し、寝て…

王盈舜『台湾 信仰との対話 第2集:神とアッラーと精霊の声(與信仰對話 第二集:聆聽天主、阿拉與靈)』(2018)

asiandocs.co.jp 52分間で台湾のキリスト教、イスラーム、原住民(アミ族)の信仰が次々にフォーカスされる。 最初は台湾唯一のカトリックの村といわれる屏東県万金村。万金聖母聖殿でのミサと、聖像制作者、聖母巡行の神輿が映される。思い出したのは小説『…

徐漢強『返校 言葉が消えた日』(2019)

時代設定は1962年、白色テロの時代の台湾で禁書の読書会を開いていた高校教師と生徒。誰もいなくなった校内に閉じ込められる悪夢が現実の密告事件と交錯する。元になったのがホラーゲームというせいもあってか、前半はジャンプスケア中心のホラーの雰囲気。 …