『テイル・フロム・ダーク1: 迷離夜』(2013)

李碧華原作のオムニバスホラー。

サイモン・ヤム監督・主演の第一話は、納骨堂から骨壺を盗み出して遺族をゆすろうとするが、当の死者が請け出しに来て、身代金を冥紙で支払う話だった。こういうまさかの用に備えてやはり供養の際に冥紙はたくさん焼いておかなければならない。幽霊役で登場する林雪は、「腹がふくれた」と言いながらひたすら食い続けるセルフパロディ

李志毅監督の第二話は占い師梁家輝と除霊師陳慧琳のコメディ仕立て。しかしこの映画が作られた2013年は、高校教師が自殺した教え子の幽霊に脅かされる話がまだコメディとして成立したのだな。生徒との「恋愛」に名を借りたグルーミング。

『迷離夜』最終話「啓蟄」はフルーツ・チャン監督、邵音音が拜神婆になって「打小人」をする。邪魔者の形代を靴でひっぱたく「打小人」、啓蟄が効果抜群と知る。私もいつか依頼したい。呪う相手の氏名や写真が要るそうだが、このご時世、ネットに写真が転がっていない人なんていないからな。靴を贈るのは「送人上路」に通じるからタブーだと聞いたことがあるが、片方の靴をなくした死者に靴を渡すシーンで、なるほど裸足ではあの世にたどり着けないのかと納得。