ベニー・チャン『コネクテッド』(保持通話、2008)

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見そびれていた香港映画の落ち穂拾い。誘拐された女性(大S)からの電話をたまたま受けてしまったばかりに、必死で救出に奔走するはめになるしがない督促人のルイス・クー。米『セルラー』のリメイクである由。

安全を守り不審者を中に入れないために定められたSOPが、あらゆる場所でルイス・クーの前に壁となって立ち塞がる。マニュアル対応を打ち破るためのダイナミックなアクション。想定外の突発事態に際し、相手を信じるか信じないかを迫られ、信じた者が最後に報われる。

交通警察のニック・チョンは、降格人事でかつての部下が上司になり、鬱憤が溜まっている。ルイス・クーから電話を渡されても、「いたずらはやめてくれ」と取り合わないが、ふと厭な予感がして通報された住所を尋ねてみたことで犯人と接触することになる。

開始30分で、現実なら絶対に死傷者が出るような派手なカーアクションが繰り広げられる。ルイス・クーは留学に旅立つ幼い息子を見送りに空港に行かなければならないのだが、「いつもパパは約束を破るんだから」と言われて信頼を失いかけている。「今度こそ行くから」とは言ったものの、気ばかり焦るもののなかなか空港にたどり着けない。

それにしても、銀髪の誘拐犯はどこかで見た顔だと思ったら、何と劉燁であった。香港映画では幼児は殺さないのが不文律なので安心して見ていられるが、こういうキレた役もやっていたとは。

大Sも含め広東語話者でない俳優は大陸出身の設定で、相手が広東語で話してもおかまいなく、台詞はすべて華語になっている。しかしほとんど電話越しの対話なので、華語ユニットと広東語ユニットで大半が別に撮影されたのかもしれない。特殊効果などデジタル編集はタイで行われた模様。