ジョニー・トー『毒戦』

ドラッグ・ウォー / 毒戦 [DVD]

ドラッグ・ウォー / 毒戦 [DVD]

 

 大阪アジアン映画祭7本目は梅田・ブルク7でジョニー・トー『毒戦』。
 大陸を舞台に、中国公安とドラッグ密売組織の戦いを描く。主人公の張雷(孫紅雷)は津海警察の麻薬対策班の潜入捜査官で、コカイン工場の爆発事故で中毒症状を起こし病院に収容された蔡添明(ルイス・クー)と遭遇する。蔡添明は減刑を狙って警察に協力することを申し出、張雷は粵江からやってきたコカイン運搬トラックを糸口に組織を一網打尽にすることを図る。
 これは何といっても孫紅雷に萌え狂う映画ではないだろうか。組織の一員になりすまして麻薬取引のテーブルに着く場面では、『奪命金』の“清楚明白”のシークエンスを想起させる反復の緊張感の中で、彼の役者ぶりがいっそう際立つ。他にもタクシーの運転手に化けて、顔はほほえみながらひそかに指示を与えるシーンがたまらない。
 脚本には韋家輝、游乃海といった面々が参加していて、ジョニー・トー作品の味というのは、彼個人というよりこうしたチームから生み出されているのだろうと想像される。
 ところで、物語とは関係なく、“張總經理(張社長)”を略して“張總”と言うのは知っていたけれど、“張隊長”を略して“張隊”ということを覚えた。

原題:毒戰
英題:Drug War
製作年:2013
制作国:香港、中国
時間:118分
言語:中国語、広東語
プロデューサー: 杜蒞峰(ジョニー・トーJohnnie To)、韋家輝(ワイ・ガーファイ/ Wai Ka-Fai
監督:杜蒞峰
脚本:韋家輝、游乃海(ヤウ・ナイホイ/ Yau Nai-Hoi)、陳偉斌(レイ・チャン/ Ray Chan Wai-Ban)、余曦(ユー・ヘイ/ Yue Hei
出演:古天樂(ルイス・クー/Louis Koo)、孫紅雷(スン・ホンレイSun Hong-Lei)、黃奕(ホァン・イー/Crystal Huang)、葉璇(ミシェル・イェ/Michelle Ye)、林雪(ラム・シュー/Lam Suet
音楽:グザヴィエ・ジャモー(/Xavier Jamaux
撮影:鄭兆強(チェン・シウキョンCheng Siu-keung )、陶鴻武(トー・ホンモウ/To Hung-Mo
編集:梁展綸(Allen Leung