程小東『白蛇伝説』

白蛇伝説 スペシャル・エディション [Blu-ray]

白蛇伝説 スペシャル・エディション [Blu-ray]

 

  先日の『画皮 あやかしの恋』(感想)に続き、女妖が人間の男を愛する古典を翻案した中国・香港合作映画をDVDで。
 ヒロインが蛇の妖怪だから仕方ないが、全般に「いかにも」というCGを使いすぎで、せっかくジェット・リーが出ているのにあまりアクションは見られない。クライマックスの部分がほとんどCGなのは興ざめだった。
 白蛇の素素(黄聖依)が薬を採りに山に来た許仙(林峰)に一目惚れ、妹分の青青(蔡卓妍)の協力を得て元宵節の夜に町に出て許仙と再会する。基本的に白蛇伝を踏襲しているが、白蛇のせいで許仙が人間の掟に背いて捕らわれ刑を受ける、というくだりはカットしてあった。代わりに、法海大師(ジェット・リー)の宝剣で傷を負い、人間の姿に戻れなくなってしまった素素を助けるべく、許仙が雷峰塔に隠された仙草(これがマンドラゴラのように人の顔を持ち、空中を飛びまわる)を取りに行くことになっている。その結果、仙草の力で封じられていた妖怪たちがぞろぞろ飛び出してきて、許仙に取り憑いてしまうという筋書き。頼りなかった許仙が勇気を奮って白蛇の精に鉢を被せ、法海和尚に調伏してもらう原話と正反対で、白蛇を助けるために与えられた試練に挑むということになっている。許仙の性格自体、疫病から人々を救うべく熱心に薬を調合する有為の青年、という風に造形されているのも現代的か。
 法海大師の弟子として能忍という人物が創作されている。彼は蝙蝠の精に血を吸われて半人半妖となってしまい、心ならずも寺を去り、青青の導きで妖怪として生きることになるのだが、この境界的な立場の人物を主人公にした方が、むしろ許仙より面白い物語が引き出せたような気がする。
 「君のご両親に挨拶したい」という許仙に、素素が妖怪仲間を引き合わせる場面が香港映画らしくて楽しい。仲間たちは西遊記猪八戒の如く、妖力に限りがあり長くは人間に化けていられない上、足は動物のままだったり、だんだん馬脚を現して許仙を戸惑わせる。この動物役として姜武、ミリアム・ヨン、チャップマン・トー、林雪といった面々がカメオ出演。白蛇の仲間として鶏の妖怪などがぞろぞろ出てくるのは、清平山堂話本の「西湖三塔記」が元ネタだろうか。
 ところで、青青が法海の弟子に「私きれい?」と尋ねる台詞は“漂不漂亮?”だった。広東語の“O唔OK?”と同じ発想だろうが、こういう言い方はどの程度許容されているのだろう。日常会話ではもう違和感がなくなっているのだろうか?

原題:白蛇傳說
英題:The Sorcerer and the White Snake
製作年:2011
制作国:中国、香港
時間:100分
言語:中国語
プロデューサー:崔寶珠
監督:程小東(Ching Siu-Tung)
脚本:張炭(カーボン・チョン)、曾謹昌(ツァン・カンチョン)、司徒卓漢(シト・チェクホン)
出演:李連杰ジェット・リー/Jet Li)、黄聖依(ホアン・シェンイー/Shengyi Huang、Eva Huang)、林峰(レイモンド・ラム/Raymond Lam)、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ/Charlene Choi)、文章(ウェン・ジャン/Wen Zhang)、姜武(ジャン・ウー/Jiang Wu)、徐若瑄(ビビアン・スー/Vivian Hsu)、杜汶澤(チャップマン・トー/Chapman To)、楊千嬅(ミリアム・ヨン/Miriam Yeung Chin Wah)、林雪(ラム・シュー/Lam Suet )
音楽:雷頌紱(マーク・ロイ/Mark Lui)
撮影:姜國民(キョン・クォッマン/Keung Kwok-Man)
アクション監督:程小東
編集:林安兒(アンジー・ラム/Angie Lam)
美術・衣装:張叔平(ウィリアム・チョン/William Chang)