スタイルズ・ホワイト『呪い襲い殺す』(Ouija、2014)

 幼なじみの親友レインとデビー。夜遊びに出かける約束だったが、レインが迎えに行くとデビーは浮かぬ顔で「今夜は家で休みたい」と言う。レインは心配しつつ帰宅するが、その翌日、デビーが自宅で首を吊っているのが発見された。
 レインと高校の友人たちは、悲しみとともに、デビーが死を選んだ理由が分からず困惑する。次の日にファミレスで朝食の約束をしていたのに、本当に死ぬつもりだったのか?
 デビーの自宅で送別のパーティーが催され、弔問に訪れたレインは、デビーの部屋にウィジャボードを発見する。最後の夜、デビーが口にしかけていたのはこのことだったのかもしれない。デビーの両親は、娘を失った家にいるのは耐え難いと、しばらくよそに移ることにし、レインに留守中の手入れを頼み鍵を預ける。
 
 デビーの死の現場で彼女の霊を呼び出せば何かが分かるかもしれないと考えたレインは、友人たちと共に夜中にデビーの家に集まり、ウィジャボードを使って降霊術を行う。「D」と名乗る霊との対話の後、「母」が現れるから逃げろとの指示が伝えられ、さらに口を縫われた少女の姿が一瞬だけ現れる。驚いて逃げ出したデビーたちだが、翌日から霊の発したのと同じ「Hi Friend」のメッセージに悩まされ、やがて一人ずつ怪異に襲われることに。
 
 やがてウィジャボードはデビーの家の元の住人が残したものであることが判明し、レインたちは元の住人について調査を始める。
 
 正体不明の怪異に襲われるパートは、デンタルフロスが鏡の中で恐ろしい凶器となるしかけがユニークだ。終盤の謎解きのパートは、屋根裏に残されていた写真という手がかりから、あまりに簡単に元の住人が突き止められるので拍子抜けする。さらに家族間の殺人事件にたどり着き、母を殺した姉娘(リン・シェイ)と面会するところまであっさり進んでしまう。隠し部屋に安置されている妹娘の亡骸が発見されても、誰も警察にもデビーの両親にも連絡しないのも謎だし、さらにちょうどよく隠し部屋に設置されていた焼却炉で火葬するのもご都合主義だ。米国の法律では、遺棄死体を届け出ず勝手に焼却した場合、死体損壊などの罪に問われないのか?
 
 悪霊に憑かれて隠し部屋に封印された妹娘と、母を殺害して妹の力を解き放とうとした姉娘の秘密が次第に明らかになる。レインと妹のサラは折り合いが悪いが、サラは不承不承降霊術につき合い、結局姉と力を合わせて霊に対峙することになる。母の抑圧という形で二組の姉妹が重なるような演出なら分かりやすいが、レインとデビーの友情が軸なので、姉妹の物語は後景化してやや消化不良ではある。
 
★シリーズ続編に前日譚となる『ウィジャ ビギニング 〜呪い襲い殺す〜』(2016)がある。監督はマイク・フラナガンに交替。同じ屋敷の秘密が明かされるが、『ビギニング』のみでも楽しめるようになっている。

 

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