スコット・パトリック『ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦』(Ouija Shark、2020)

 親類のコテージの留守番を任され、夏を過ごしにやって来た若い女たち。中の一人がビーチでウィジャボードを拾い、試しに遊んでみたところから、サメの亡霊を召喚してしまう。

 林の中をふわふわ飛んで来る半透明サメに、一人ずつ食われてゆく女たち(と無関係なカップル一組)。ウィジャボードを拾った女は、父に電話で助けを求め、ボードの元の持ち主を探せとアドバイスを受ける。……と筋を説明するのも面倒だが、とにかく空飛ぶ人食いザメの亡霊が(思い出したように)襲ってくる話。霊体のはずなのに家のドアや壁で物理的に防御できてしまう。

 父は霊媒師を訪ね、危機に瀕した娘を助けるため、水晶玉を通してサメの注意を引き付けようとするが、そのせいで無惨にも一口に食われるはめに。だが、霊体となった父が、火の玉を吐くサメと「ミスティック・シールド」で戦うのだ!

 父が勝利を収めて終わりかと思うと、しぶとくサメは再登場。結局ウィジャボードを猟銃で撃って物理的に破壊、サメを撃退するという展開。お父さんは何のために命を落としたのか。

 そして、サメを召喚したのは"Make America Great Again"と言っている連中の陰謀で……と落ちがつく。きっと今夏の猛暑もウィジャ・シャークの陰謀だろう。実験が成功したので、続編ではもっとサメを巨大化するそうだ。

 正味60分と気軽に観られる長さで、作りものの腕がプールをぷかぷか流れるシーンを除けば、血もほとんど映らないので安心である。