ベン・ウィートリー『MEG ザ・モンスターズ2』(Meg 2: The Trench)

 「ピピンの二度目の受難」とサブタイトルをつけたい。ジョン・タートルトーブによる前作の直接の続編で、五年後の設定。テイラー(ジェイソン・ステイサム)は環境活動家として大型船に潜入し、放射性物質の不法投棄の証拠をつかむ。前作のパートナー役だったリー・ビンビンは故人となっており、今回は出演せず。海南島沖の研究所マナ・ワンはリー・ビンビンの兄の九溟(呉京)が引継ぎ、娘の梅盈もそのままそこで養育されている。

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 研究所では幼魚の頃から飼育したメガロドンが飼育されているが、お約束の通り脱走する。深海に適応している古代魚が海面近くで生きてジャンプしたりできる理由はよく分からない。

 最後は前作同様に、観光客のひしめくビーチだが「モンスターズ」と複数形になっているとおり、サメだけでなく陸からも海からも巨大生物が襲いかかってくるのが楽しい。私が気に入ったのはオオトカゲのような素早く凶暴な古代生物(?)。のそのそ歩いて弱った動物や死肉を食べていそうな外見のわりにやたらと凶暴で、動くものを見ると集団で襲ってくる。かなり遠くからでも標的の動きを感知できるすばらしい視力の持ち主。

 さすがに二作続けてサメの標的になったら三亜のリゾートもイメージダウンではないかと心配したが、今回は海南島付近の架空の島ということになっていて、ロケ地はタイらしい。

 メガロドンと人間の間に絆が結べると考えている九溟に対し、テイラーは野生動物の馴化は不可能だという立場。しかしどちらも、人間が扉を開いてヒトの生息圏に呼び込んでしまった野生動物に関しては、ヒトに対する脅威となる限り殺戮が不可避だという態度で一致する。

 ちょっと面白かったのが、英語では「九溟」が「救命」と発音されていて、彼に呼びかけるたび「Help!」と叫んでいるように聞こえる。中国語話者の観客層を狙ってわざとつけた名前だろう。

 テイラーが亡き恋人の連れ子である梅盈(14歳)に"I love you."と伝える台詞があるが、字幕は「娘だと思ってる」と見事な訳だった。エンディングテーマの「俺はメガロドン、ガブリといくぜ」という爆笑もののリリックも必見。字幕はアンゼたかし氏。