エミール・エドウィン・スミス『ディープブルー・ライジング』(Ice Sharks、2016)

 極地観測所がその凶悪かつ知能の高いサメによって孤立させられ、沈められる脱出パニック。『ディープ・ブルー』シリーズと勘違いして観たが、邦題がややこしいだけで特に関係はなかった。

 北極の氷に囲まれて独自に進化を遂げたサメたちが、温暖化によって氷が融けたせいで、元々暮らしていた海域から脱出して外海に出没する。

 極地とはいっても、地元の猟師が犬ぞりで狩りに出る地域からそう離れていないという設定。ドキュメンタリー『科学者とジェンダー』を観た後では、極地のフィールドワークでは、自然よりむしろ外部と隔絶された環境でのいじめの方が恐ろしい気がする。つい「サメに食われる方がまだマシかも……」と思ってしまったが、調査隊の男女比はほぼ半々、エスニック・グループとしてもだいたいバランスを計算している様子。もっとも、最後まで生き残るリーダー格のメンバーが白人である点ではほかの映画と大差ない。

 氷の上に建設された基地の周囲を、サメたちが砕氷船以上の効率でコンパスのように切り取り、基地を沈没させることに成功する。海中の温度は相当低いはずだが、海に落ちて救助された直後に、スノーモービルで風にさらされて基地に連れ帰られたメンバーも、凍傷を負ったりはしなかったらしく元気に活動を継続。基地が傾き沈んでゆく場面や、沈没後の海中のシーンはかなりチープな映像で、予算と脚本が釣り合わなかったようだ。最後の最後で、窓を割って突入した巨大ザメがヒロインとキスしそうになるシーンが見どころか。

 

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