ジョン・R・レオネッティ『ザ・サイレンス 闇のハンター』(The Silence、2019)

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アパラチア山脈の地底から発見され、たちまち大群となって地上に適応した生物。大きめの無毛のコウモリのような彼らは、視覚を持たず音に反応して標的を襲う肉食動物。人類は無音の生活を余儀なくされる。

中途失聴の少女と、手話で話す聴者の家族のサバイバル・ホラーは『クワイエット・プレイス』(2018)と設定が重なるせいで、こちらはどうしても分が悪い。終盤で『ミスト』を足した感も。ただ原作はTim Lebbonの2015年の同名小説とのことで、製作時期はこちらが先だったらしい。

ムクドリの大群と同様に電線にとまり、狙った獲物を寄ってたかって貪り食うので、廃墟と化した町でも通りには死体一つ残らない。屋内に残された死体には、びっしりと卵が産みつけられている。(姿はコウモリに似るが哺乳類ではなく卵生)

それにしても、視覚は持たずとも、地上の広い空間を障害物を避けて飛行するには何らかのセンサーが必要なはずで、超音波か何かで「見えて」いるのでは。また、数が数だけに、爪で引っかかれた傷からは抗生物質では済まない人獣共通感染症のウイルスが入りそうだし、寒冷地に避難した人類の間にたちまち蔓延しそう。

タイトルこそ「The Silence」だが、主人公の世界は無音ではなく、キーンという高音で他の音が圧されたように表現されているのには注目。『エッセンシャル・キリング』でも、近くに着弾した砲弾の轟音で主人公が一時的に難聴になる描写に似た手法が使われていたと記憶する。

 

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