韓国

キム・ジウン『箪笥』(장화, 홍련、2003)

韓国のホラー映画リストによく上がる作品『箪笥』をようやく観た。監督は『人狼』のキム・ジウン。導入は屋敷ものだが、だんだんと流産や生理のモチーフが挿入され、ボディホラーの趣を呈してくる。決定的な謎解きに至るまでのサスペンスが巧みで、人間関係…

ユン・ジュンヒョン『トンソン荘事件の記録』(마루이 비디오、2023)

舞台は釜山。1992年、旅館〈トンソン荘〉で若者が恋人を殺害する事件が起こった。犯人はその一部始終を撮影していたが、検察庁に保管されているそのビデオテープには、ありえないものが映っているという噂がある。2019年、取材班がその映像について調べる過…

ナ・ホンジン『哭声/コクソン』(곡성、2016)

國村隼が韓国の村人を殺しまくるゴアフィルムかと思って見たら、殺傷シーンやアクションが主眼ではなく、理解できない事態に直面した際に何を「信じる」のかというサスペンスだった。ひとたび因果関係が仮定されると、その後はそれを証拠付けようと試みるば…

キム・ジンウォン『ワーニング その映画を観るな』(암전、2019)

霊が映った映像はよくあるが、霊が撮らせた映画というのは初めて聞いた。なかなかその曰く付きの映画が出て来ないので、「牛の首」のような話かと思いながら観ていたところ、ファウンド・フッテージそれ自体より恐ろしい事態へと展開する。 ワーニング その…

キム・ジウン『人狼』(인랑、2018)

www.netflix.com 南北統一が実現された近未来の朝鮮半島を舞台とした実写アクション。冒頭3分間で国際情勢が説明されるが、濃縮しすぎでついてゆけない。しかし肝心なのは対「セクト」を目的に設置された「特機隊」と公安との暗闘という構図。 アクションは…

キム・グァンビン『クローゼット』(클로젯、2020)

https://www.netflix.com/jp/title/81405032 IMF危機後の1998年、お祓いの最中に手にした匕首が激しく反応し、ムーダンがクローゼットの前で喉をかき切る映像から始まる。時は転じて現在、父と娘の新居から、忽然と娘の姿が消える。 『釜山行』と並んで、娘…

キム・テヒョン『第8日の夜』(제8일의 밤、2021)

www.netflix.com 釈迦牟尼によって東の果てと西の果てに封印された赤い目と黒い目。二つが再び合わさる時、地獄の門が開かれるという。ある学者が印パ国境でその一つを発掘するが、誰も信じない。学者は自分の発見が真実であることを証明しようと、赤い月の…

チェ・ジンソン『サイバー地獄 n番部屋 ネット犯罪を暴く』(2022)

www.netflix.com Netflixドキュメンタリー。テレグラムを利用した有料チャットルームで、多くの未成年者を含む女性を脅迫して性的虐待を加えた映像を配信していたあの事件。 ハンギョレ新聞の記者と、彼らに先駆けて匿名で取材記事を公表していた二名の大学…

チョン・ボムシク『コンジアム』(곤지암、2018)

心霊スポットとして知られる廃病院に入って動画をライブ配信する若者たち。潜入する6人の男女全員がGoProを装着し、主観映像と撮影者の表情を同時に撮影し、代表が病院外のテントでカメラを適宜切り替えながら配信するというもの。 女性陣を怖がらせることで…

ヨン・サンホ『新感染 ファイナル・エクスプレス』(釜山行、2016)

https://www.netflix.com/jp/title/80117824 走行中の高速鉄道車内で乗客がゾンビ化してゆくパニック映画。2022年の今となっては、感染者の排除が映画の出来事ではなく現実に見聞きしたものとなってしまった。 鼻持ちならないファンド・マネージャー(コン・…

イ・ジェヨン『裏話 監督が狂いました』

大阪アジアン映画祭9本目、シネ・ヌーヴォにてイ・ジェヨン『裏話 監督が狂いました』。 CM用に10分の短編映画を撮ることになったイ・ジェヨン監督。スカイプで遠隔監督をもくろみ、ロサンゼルスへ飛んでしまう。短編映画ではハ・ジョンウが監督役で、…

キム・ペクジュン『離ればなれの』

大阪アジアン映画祭10本目、第七芸術劇場でインディ・フォーラム部門のキム・ペクジュン『離ればなれの』。中国朝鮮族を描いた映画はできるだけ観るようにしているのだが、何とも沈鬱な作品だった。両親と離れて暮らす姉弟という設定は張律『豆滿江』を思…

オ・ジョンヒ『金色の鯉の夢』

金色の鯉の夢―オ・ジョンヒ小説集 (現代アジアの女性作家秀作シリーズ) 作者: 呉貞姫,波田野節子 出版社/メーカー: 段々社 発売日: 1997/03/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 1947年生まれの韓国の女性作家、オ…

パク・チャンギョン『浄土アニャン』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭にて。韓国のアニャン(安養)市の歴史をいくつかのテーマに絞り、取材する過程を俳優が再現した(フェイク)ドキュメンタリー。 一つは高麗時代の安養寺の遺跡発掘に関するパート。現在確認されているのは、本来の安養寺の…