イ・ジェヨン『裏話 監督が狂いました』

 大阪アジアン映画祭9本目、シネ・ヌーヴォにてイ・ジェヨン『裏話 監督が狂いました』。
 CM用に10分の短編映画を撮ることになったイ・ジェヨン監督。スカイプで遠隔監督をもくろみ、ロサンゼルスへ飛んでしまう。短編映画ではハ・ジョンウが監督役で、同じく遠隔で監督するが、実はソウル市内にいて最後に現場に登場、というシナリオが用意されている。
 撮影のために集まって来たキャストたちは、監督が現場で演出しないと聞いて呆れ顔。始まってみると、モニター越しの指示では要領を得ないし、衣装チェックにも順番に並んで指示を待たなければならない。面倒くさくなって「もうパソコン切ってしまえ」などと言い出す始末。
 映画制作の裏側を描いたモキュメンタリーで、実際に監督はロサンゼルスにいたのだそうだが、出演者の中には、近辺にいるものとずっと思い込んでおり、映画が完成して初めて本当にアメリカにいたことを知った者もいたとか。
 待機中に俳優たちがあれこれ雑談したり監督の悪口を言ったり(半分演技で半分本気のようだ)しているのが楽しい。ホン・サンス作品常連のユン・ヨジョンが、ホン・サンスイム・サンスに翻弄されたとふざけるくだりなど、『三人のアンヌ』を観ていればもっと面白かったかもしれない。イザベル・ユペールと一緒にビキニを着るように言われたとか、「1歳でも若いうちに着ておくんだった」と言ったら「じゃあ次で着ればいい」と言われたとか語っていたのが、期せずして『低俗喜劇』(感想)の邵音音のヌードの話と重なる。
 ところで、ユン・ヨジョンはキム・ギヨンの『火女』『蟲女』に出ているそうだが、どちらも観ているはずなのに全く気づかなかった…。

原題:뒷담화,감독이 미쳤어요
英題:Behind The Camera
製作年:2013
制作国:韓国
時間:85分
言語:韓国語
プロデューサー:チェ・ジェウォン(Choi Jae-won)、チェ・ジョンホ(Choi Jeong-ho
監督:イ・ジェヨン(이재용/李在容/E, J-yong
出演:ユン・ヨジョン(윤여정/Youn Yuh-jung)、キム・ミニ(김민희/Kim Min-Heui)、キム・オッピン(김옥빈/Kim Ok-vin)、パク・ヒスン(박희순/Park Hee-soon)、カン・ヘジョンKang Hye-jung)、ハ・ジョンウ(하정우/Ha Jeong-U
音楽:モグ(Mowg
撮影:ユ・オク(Ryu Uk