バンジョン・ピサンタナクーン『アンニョン!君の名は』

 大阪アジアン映画祭、8本目はシネ・ヌーヴォで『アンニョン!君の名は』。特集企画「GTHの7年ちょい〜タイ映画の新たな奇跡」の一本で、2011年のABC賞受賞作でテレビ放映されたこともあるそうだ。
 連休を利用してタイから韓国へのツアーに参加した男(チャンタウィット・タナセーウィー)だが、酔っ払ってホテルを間違え、ツアーバスに置き去りにされてしまう。そこにたまたま同胞の女(ヌンティダー・ソーポン)が通りかかり、一緒に行動することになる。
 韓流ブームを冷たく見ているくせに、わざわざ韓国に来た上に英語が苦手で一人では行動できないダメ男に、行動的でひとりでロケ地めぐりを楽しむ女という対照的な二人だが、次第に互いの心の内を垣間見るようになる。
 韓流ドラマをタイ風にやってみました、という体のラブコメだが、人は悪くないにせよ一々余計なことを言うこういう男ってタイにもいるのか、と変なところに感心してしまった。特にラストのコールイン番組のシーン!しかし、こういう衝動的で身勝手な、冷めているくせにちょっと子供っぽいところのある男とは、付き合ってゆくのもなかなか苦労だろうなあ。しかし、等身大のダメさ加減と憎めなさで、気の良いヒロインが何となく放っておけない気持ちになってしまうのにも説得力があったような。
 ところで、ペ・ヨンジュンがすっかりネタにされていて、タイでもそういう受け止められ方かとおかしい。

原題:กวน มึน โฮ
英題:Hello Stranger
製作年:2010
制作国:タイ、韓国
時間:130分
言語:タイ語
プロデューサー:ジラ・マリクン(Jira Maligool)、チェンチョンニー・スントーンサーラトゥーン(Chenchonnanee Soonthonsaratul)、スウィモン・テーチャスピナン(Suvimon Techasupinun)、ワンルディー・ポンシッティサック(Vanridee Pongsittisak
監督:バンジョン・ピサンタナクーン(Banjong Pisanthanakun
脚本:ノントラ・クームボン(Nontra Kumwong)、チャンタウィット・タナセーウィー(ฉันทวิชช์ ธนะเสวี/Chantavit Dhanasevi/Chantavit Dhanasevi
出演:チャンタウィット・タナセーウィー、ヌンティダー・ソーポン(หนึ่งธิดา โสภณ/Nuengthida Sophon
音楽:チャッチャイ・ポンプラパプン(Chatchai Pongprapaphan
撮影:ニラモン・ロス(Niramon Ross
編集:Thammarat Sumetsupachok