2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ウェス・アンダーソン『奇才ヘンリー・シュガーの物語』(Roald Dahl's The Wonderful Story of Henry Sugar、2023)

ロアルド・ダール原作の短篇から四つを短篇映画シリーズにしたもの。邦題は『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』とも。動きを最小限にした演劇的な構成で、いずれも作家自身が途中で顔を出し、執筆中の書斎から観客に語りかける。 『奇才ヘンリー・シュガ…

ケビン・コルシュ、デニス・ウィドマイヤー『ペット・セメタリー』(Pet Sematary、2019)

スティーヴン・キング原作。1989年にも映画化されているそうだが、こちらは2019年のバージョン。オープニングは、庭先に停まった車の開いたままのドアから、血痕がポーチを伝って家の中へと続くカット。 ペット・セメタリー (2019) (字幕版) ジェイソン クラ…

金華青『チベット・ガール 翼を求めて』(貢秋卓瑪、The Tibetan Girl、2016)

30分の短編。アジアンドキュメンタリーズ配信。 中国・四川省アバ出身の女性歌手。家族の心配をよそに単身北京に赴くが、信仰と生活が一体となった草原の暮らしとはまったく異なる上、漢族の飲食その他の習慣にも馴染めない。かといって、帰郷しても虚しさか…

マラティ・ラオ『ゲシェマの誕生 ー尼僧院の希望ー』(The Geshema Is Born、2019)

チベット仏教の尼僧たちの姿をインドで取材したドキュメンタリー(クレジットを見るとネパールの尼僧院も撮影に協力しているようだ)。アジアンドキュメンタリーズ配信。 asiandocs.co.jp 「ゲシェ」というのはチベット仏教の学位取得者の称号で、尼僧の場合…

ペマ・ツェテン『羊飼いと風船』(氣球、2019)

監督自身の漢語小説を原作とするチベット語映画。漢語の台詞は風船を買うわずかなやりとりのみで、エンドロールもすべてチベット語(+英語)。チベット語の世界を漢語で文章にすることを最初の翻訳とすれば、映画はチベット語の音と風景への再翻訳といえる…

Rob Sixsmith『アイスコールド 殺人とコーヒーとジェシカ・ウォンソ』(Ice Cold: Murder, Coffee and Jessica Wongso、2023)

インドネシアの犯罪ドキュメンタリー。2016年にジャカルタのカフェで Wayan Mirna Salihin という若い女性が急死した。彼女の飲んでいたアイスコーヒーからシアン化物が検出され、状況証拠から一緒にいた友人の Jessica Wongso による毒殺が疑われる。裁判の…

リー・クローニン『死霊のはらわた ライジング』(Evil Dead Rise、2023)

これは設定が邪悪すぎる。湖畔の山小屋で悪魔に襲われる若者たちの話と思いきや、それはまくらに過ぎず、メインはその前日に悪魔を呼び出してしまった一家の惨劇だ。 妊娠に気付いた妹は、長く疎遠だった姉の家を訪ねる。しかしタトゥーアーティストの姉は離…

イリス・ザキ『美容室』(Women in Sink、2015)

故郷ハイファで友人フィフィの経営する美容室にカメラを設置し、女たちの髪を洗いながらインタビューする監督。アラブ人キリスト教徒の店だが、ユダヤ人の常連客も多い。ほぼ10年前の撮影だが、第二次インティファーダ以降イスラエル国内に醸成された民族関…

Cassius Michael Kim『Man On The Run』(2023)

マレーシアの1MDBを隠れ蓑にした金融犯罪をめぐるドキュメンタリー。Netflixで配信。 タイトルの「逃亡者」とは、一義的には計画実行と不正に得た金額からして最大の責を負うと思われるジョー・ロウのこと。今なお消息は不明で、捜査関係者の推測では生きて…

Nizam Abd Razak『メカアマト MOVIE』(Mechamato Movie、2022)

劇場版メカアマト、日本では吹き替え版のみの上映。公開最終日に劇場で鑑賞。(グッズはメカボット*1のマグネットを買って大変満足した) アニメシリーズの前日譚としてアマトとメカボットの出会い、そして街のヒーロー「メカアマト」の誕生までが描かれる。…