マレーシア語かインドネシア語らしい表記の警察署に、中国人の男(朱一龍)が憔悴した様子で駆け込んでくる。妻(黃子琪)が失踪したと訴えるが、「家出だろう」と相手にしてもらえない。彼は中国から妻と休暇でこの島に来ており、あと五日でビザが切れるので、どうしても妻を探したいと言う。
ところが、男が翌朝目覚めると、隣には見知らぬ女(文詠珊)が寝ており、妻だと言い張る。一緒に撮った写真も、妻のパスポートも、すべてこの女の写真に置き換わっている。男はパニックを起こして警察に訴えるが、妄想性の精神疾患だろうとみなされる。
タイトルからして妻の失踪をめぐるサスペンスかと思いきや、別人が妻の顔をして寝ており、妻でないといくら訴えても取り合ってもらえないという設定が怖い。
本当に妻が失踪したのなら、中国大使館に救援を求めるのではないかと思うが、あくまで現地警察に頼るのが不審。出入国時には指紋を採られるのだし、入国時と異なるパスポートで出国しようとしたらゲートで引っかかるだろうから、妻だと言い張る女を連れてまずは中国に帰ればよいのではと思うが、なぜか在留期限ぎりぎりまで妻を探そうとする主人公。そこに敏腕の国際弁護士という若い女性(倪妮)が現れ、彼はなんとかしてもらおうと懇願する。
邪悪な巨大組織の陰謀が渦巻く東南アジアというイメージが利用されているので、さすがに特定の国には設定されない。インド系の言語が併記されているところをみると、マレーシアのイメージだが、ホテルのスタッフはタイ語を話している。クレジットを見ると、三亜をはじめ海南島や南部の民俗村で撮影しているようだ。
登場人物の辻褄の合わない言動は、最後にきちんと回収されて、理屈は通るようになっている。中国映画らしいのは、犯罪者は死刑判決を受けて即時執行され、関係者はそれぞれ何日拘置されたと処分が最後にクレジットされること。ギャンブル依存症の話なのだが、やっていないと言いながらあちこちに嘘をついて借金をし、嘘に嘘を重ねてゆく過程で、「ダメ、絶対」という賭博への姿勢が示される。依存に陥った人の快復より、賭博に手を出す者を悪として描く明快さが求められているのだろう。
大作映画らしい派手なカーチェイスやどんでん返しが楽しめるが、表層的な南洋/東南アジアイメージにはうんざりさせられる。