eco bike coffee movie production『バンドンの若いコーヒー農家』(2023)

 『バンドンの若いコーヒー農家』(A Young Coffee Farmer from Lembang, Bandung)、19分の短編ドキュメンタリー。アジアンドキュメンタリーズ配信。

 インドネシア西ジャワ州バンドゥン周辺のリゾート地レンバンはコーヒーの特産地でもあるという。バトゥ・ロンチェン村でコーヒー農園を経営する青年アッペプ・ヒダヤットのインタビューを中心にコーヒービジネスの一端を描く。

 もともと父が最初にコーヒー栽培を始め、数年前にそれを引き継いだという。映画『珈琲哲学』シリーズに出て来るような湿った山中のコーヒー園だ。品種はティピカ、ティムティム、アテン、シガラル・ウタンの四種。赤く実ったコーヒーを摘み取るのは女性たちで、収穫期には村内だけでなく近隣の村からも人を雇う。茶摘みのような感覚の仕事のようだ。

 山中の畑の小屋で、火を起こして湯を沸かし、自分で豆を挽いてドリップするシーンがたまらない。2012年にコーヒーが導入された当初、農家は豆をそのまま無加工で出荷しており、売るべき先も分からなかった。アッペプは加工し焙煎して出荷するようにし、馴染みのコーヒーショップに卸している。袋に詰めてバイクの後ろにくくりつけ、そのまま街に売りに行くという小規模な商売で、質の高い豆を生産し、味の分かる相手に売るのが肝になるようだ。

 若い妻は看護師で、来年にはバンドゥンに学業を修めに行くため、農園の仕事は手伝えないという。露台に座る夫に、うやうやしくコーヒーを出したり、テンペ炒めを作って、米飯を盛っておかずを載せた皿を差し出したり、しとやかなよきイスラーム教徒の妻であろうと懸命にカメラの前で振る舞っているようなのが感じよくうつる。アッペプ自身も、ビジネス感覚にすぐれたやり手の農園経営者なのだろうが、カメラを意識してか、訥々とした語りがほほえましい。夫婦と夫の父の三人での食事が、どことなくままごとめいて見えるのも、撮影ゆえだろう。若干ぎこちない演技のようなのは、ことによると撮影クルーが動きを指示しているのだろうか。

 英語字幕でYouTubeでも見ることができる。

  • Documentary Film "A Young Coffee Farmer from Lembang, Bandung"youtu.be

★映画『珈琲哲学』シリーズ第三作。

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