2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・M・チュウ『クレイジー・リッチ!』(Crazy Rich Asians、2018)

ゲーム理論の大学教授レイチェル(コンスタンス・ウー/呉恬敏)は、シンガポール人の恋人ニック(ヘンリー・ゴールディング)に連れられ、友人の結婚式に出席することに。中国出身の母に女手一つで育てられたアメリカ生まれの彼女は、シンガポール華人の風…

エヴァン・スピリオトポウロス『アンホーリー 忌まわしき聖地』(The Unholy、2021)

1845年、マサチューセッツのバニフィールドという町。のっけから処刑される魔女の視点で始まる。目の部分だけ開いた何かを顔に被せられ、吊り下げられて火を放たれる。魔女の魂は小さな陶器の人形に封じられる。これはkern baby と呼ばれるお守りの人形で、…

中島哲也『来る』(2018)

序盤に田舎の親類の集まりと、結婚式のシーンが交互に出て来て、表面上は和やかなのにものすごく気持ちの悪い感じが続く。極めつけは新居披露のホームパーティーで、外面ばかりよい夫(妻夫木聡)と、その縁者の中に放り出された妻(黒木華)。 夫の田舎では…

ジョン・タートルトーブ『MEG ザ・モンスター』(The Meg、2018)

米中合作のサメ映画。上海沖の観測基地で、海底と思われていた層のさらに下に未知の領域があるとの予測から、有人探査機が潜水する。そこには確かに空間が広がっており、生命体の存在すら確認されたものの、それは巨大イカと、絶滅した古代のサメ・メガロド…

王鼎霖『第九分局』(2019)

台湾の人情ホラー映画。冥土の門が開き、死者の帰ってくる鬼月の終わりに公開されたもののようだ。昔の中国では冥界にも官僚制がしかれ現世を鏡に映したように想像されていたが、冥土に閻魔大王のような裁判官がいるなら、その前に警察が捜査を行ってもおか…

ウィリアム・フリードキン『エクソシスト』(The Exorcist、1973)

カトリックの悪魔祓いの話だが、アザーンと共に太陽の色が変わってゆく印象的なオープニングだ。誤ってほかの映画を再生してしまったのかと思ったが、高齢の神父はイラク北部の遺跡で発掘調査に参加しているという設定だった。彼は帰国前、悪霊の頭部を象っ…

デヴィッド・R・エリス『デッドコースター』(Final Destination 2、2003)

『ファイナル・デスティネーション』シリーズ第二作。第一作での飛行機事故からちょうど一年後。ハイウェイでの玉突き事故を幻視した主人公のキンバリーは、ハイウェイに入る車列を妨害する。予兆の通りに大事故が起こるが、一命をとりとめたはずの男女が順…

清水崇『犬鳴村』(2020)

都市伝説に取材したホラー映画。発電用ダム建設で水没した犬鳴村には、日本国憲法の通用しない前近代的世界が残ると噂される。 橋のたもとの電話ボックスに、深夜2時になると電話がかかってくる。それに出た者は、通行不能となっている犬鳴村へのトンネルを…

オーレン・ペリ『パラノーマル・アクティビティ』(Paranormal Activity、2007)

シリーズ2・3を先に観て、数か月空けてようやく1を観た。呪われた姉妹のうち、姉とそのパートナーの話だが、超常現象の撮影のために設置されるカメラは一台だけで、後のシリーズ作品と比べて本当にミニマルな作り。恐怖の演出も最小限にしてあり、シリーズ作…

エミール・エドウィン・スミス『ディープブルー・ライジング』(Ice Sharks、2016)

極地観測所がその凶悪かつ知能の高いサメによって孤立させられ、沈められる脱出パニック。『ディープ・ブルー』シリーズと勘違いして観たが、邦題がややこしいだけで特に関係はなかった。 北極の氷に囲まれて独自に進化を遂げたサメたちが、温暖化によって氷…

タイ・ウェスト『Pearl パール』(Pearl、2022)

『X エックス』シリーズ第二作、老婆パールの若き日を描く。時代背景は『X エックス』の60年前、第一次世界大戦中の1918年で、夫ハワードは出征しており、しかもスペイン風邪の流行中。 happinet-phantom.com 家畜小屋の扉が開いて映画が幕を開けるが、パー…

莊絢維『人面魚 THE DEVIL FISH』(人面魚:紅衣小女孩外傳、2018)

台湾の都市伝説ホラー〈赤い服の少女〉シリーズ、第三作にして前日譚。人間を山に誘い込む〈魔神仔(モシナ)〉という山怪は、シリーズ第二作で虎の姿の神〈虎爺〉によって鎮められる。その時に神降ろしをし、虎爺を自らに憑依させて戦った若い童乩(タンキ…

タイ・ウェスト『X エックス』(X、2022)

3月に読んだホラー映画の女性表象についての批評に、父権的な象徴的秩序をさげすみ転覆する力を持った、近年のホラー映画に表れる「Monstrous feminine」の例として『X エックス』と『Pearl パール』も上がっていた。 theinitium.com ちょうど『Pearl パール…

デヴィッド・ブルックナー『ザ・リチュアル いけにえの儀式』(The Ritual、2017)

英国ホラー。大学時代の悪友たちが旅行の計画を立てる。その矢先、立ち寄ったコンビニで強盗に襲われ、中の一人が殺害されてしまう。自分ひとりだけ身を隠し、目の前でむざむざ友人を殺されたことに罪悪感を抱き続ける主人公。 半年後、亡き友人の追悼のため…

Raditya Dika 監督・主演『リーサル・ゲーム』(Target, 2018)

インドネシアのデスゲーム・コメディ。映画撮影のために集められたセレブたちがゲームを命じられる。そのドタバタ喜劇が大半だが、主人公と恋人はめでたく救出され、警察の捜査により黒幕も判明したものの……。 ワイヤーや特殊効果を用いず、サウンドも入れな…

『ある呪われた学校で… ザ・シリーズ』(School Tales the Series、2022)

学校の怪談をテーマにしたタイの一話完結のオムニバスドラマ。Netflix配信。SNS世代というか、日常をすべてリアルタイムでネット上に公開してしまう高校生たちの間で、嫉妬や羨望と同時に恐怖も増幅され伝染してゆく。一話が45分ほどと、内容の割にやや尺は…

ダイナ・リード『ラン・ラビット・ラン』(Run Rabbit Run、2023)

離婚して一人で娘ミアを育てている産婦人科医のサラ。ミアの7歳の誕生日、家に白ウサギが迷い込んで来てからというもの、ミアは会ったことのない祖母に会いたいとごね始める。しかしサラは母とは長く不仲で、娘と会わせるつもりはなかった。 『夢十夜』の夜…

Rako Prijanto『Para Betina Pengikut Iblis』(2023)

インドネシアのゴア・フィルム。Netflixで英語字幕配信。題名は「悪魔の女信徒たち」とかいう意味のようだ。中身は悪魔と契約した二人の女たちによる、それぞれの復讐のゴア描写が中心。一人は膝の腫れ物で歩けない父の介護に縛り付けられている少女で、家出…

キム・ジンウォン『ワーニング その映画を観るな』(암전、2019)

霊が映った映像はよくあるが、霊が撮らせた映画というのは初めて聞いた。なかなかその曰く付きの映画が出て来ないので、「牛の首」のような話かと思いながら観ていたところ、ファウンド・フッテージそれ自体より恐ろしい事態へと展開する。 ワーニング その…

パークプム・ウォンプム『Delete/デリート』(2023)

タイのドラマ。全8回。ライター・編集者のエームと農場主夫人のリリー。互いのパートナーに隠れて交際を続けているが、ひょんなことから撮影した相手を消せるカメラ搭載の携帯電話を手にする。 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第1話 第1話…