ダイナ・リード『ラン・ラビット・ラン』(Run Rabbit Run、2023)

 離婚して一人で娘ミアを育てている産婦人科医のサラ。ミアの7歳の誕生日、家に白ウサギが迷い込んで来てからというもの、ミアは会ったことのない祖母に会いたいとごね始める。しかしサラは母とは長く不仲で、娘と会わせるつもりはなかった。

 『夢十夜』の夜道を子供をおぶって走る話のような、親の因果を子が知っている気味の悪さと、7、8歳の女児のかわいげのなさがあいまって後味の悪さが最高のサイコホラー。新旧どちらの妻に対してもデリカシーのない元夫にも辟易するが、離婚に至ったのにも納得。

 繁殖力の象徴たるウサギ、出産に関する主人公の仕事に反して、「ミアは一人っ子にすると決めたでしょう」という不可解な台詞がだんだん解かれてゆく仕掛け。中国語題「不速之兔」(招かれざる兔)はうまくつけたなあ。

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