Rako Prijanto『Para Betina Pengikut Iblis』(2023)

 インドネシアのゴア・フィルム。Netflixで英語字幕配信。題名は「悪魔の女信徒たち」とかいう意味のようだ。中身は悪魔と契約した二人の女たちによる、それぞれの復讐のゴア描写が中心。一人は膝の腫れ物で歩けない父の介護に縛り付けられている少女で、家出した母の代わりに父の世話をしている。もう一人は妹が強姦殺人の被害者となった姉。尺は90分もないのだが、一作で完結せず、続編が予告されている。残酷描写をつないだだけで、二人の女の接点が生まれたところで終わるのは、続編で過去の経緯が明かされるのだろうか。

 父の世話をしている少女が、容態が急変した父のためにクリスチャンの白人医師を呼びに走る場面から始まる。彼女は足の切断手術を見て片頬でほほえんだり、山羊を屠るところを興味津々に見つめたりと、何やら血に喜びを感じるらしい。

 普通は悪魔崇拝者が誰なのかを明かさず、不気味な現象から逃げようとする人物の視点をとるであろうところ、この映画は二人が悪魔に説き伏せられるところから時間軸通りに映す。痛めつけられた女たちが悪魔に唆されるままに相手を追い詰めるため、次に起こることが読めてしまい、ショック・シーンの怖さが半減しているのが残念。ただ、死体損壊や人肉食という猟奇性が目玉なので、じわじわと追い詰める恐怖描写やジャンプスケアを用いたショックはあえて避け、血みどろの画面を見せることに注力したのだろう。

 インドネシア・ホラーでおなじみの、ダメ父や肝心な時に不在の父というパターン。珍しいのは、礼拝の最中に悪魔が姿を現して囁きかけるシーン。それだけ悪魔の力が強力なのか、それとも一度でも呪術に関係をもった者は、いくら祈っても信仰の道には戻れないということなのか。

 

netflix.com

★同監督の前作。

zacco-q.hatenablog.com