デヴィッド・ブルックナー『ザ・リチュアル いけにえの儀式』(The Ritual、2017)

 英国ホラー。大学時代の悪友たちが旅行の計画を立てる。その矢先、立ち寄ったコンビニで強盗に襲われ、中の一人が殺害されてしまう。自分ひとりだけ身を隠し、目の前でむざむざ友人を殺されたことに罪悪感を抱き続ける主人公。

 半年後、亡き友人の追悼のため、彼が行きたがっていたスウェーデンのトレッキングに出かける主人公たち。そのうち一人が膝を怪我し、予定を変更して森を突っ切る近道を取ることにするが……という山岳事故必至の展開。しかも森に入った途端、腹を割かれたヘラジカの死体が、モズのはやにえのように樹上に突き刺さっているのが目に入る。暴風雨を避けるためにもぐり込んだ怪しさ満点の小屋には、首のない巨大な藁人形があり、全員が悪夢にうなされる始末。

 主人公は幾度も友人の死の瞬間のフラッシュバックに脅かされるが、それは彼の内面に起因するばかりではなく、確かに獣のような不浄な存在の気配が感じられるようになる。

 村人が信仰している巨神族の生き残りというのが、ヘラジカの胴体に逆さにした人体を組み合わせたような造形で、人間の腕がクワガタムシの大あごのように獲物をがっちり捕らえる。暗くてよく分からないのだが、もうちょっとはっきり観たいような気もし、かといってはっきり見えてしまうと面白くないという絶妙の見せ方。

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