オーレン・ペリ『パラノーマル・アクティビティ』(Paranormal Activity、2007)

 シリーズ2・3を先に観て、数か月空けてようやく1を観た。呪われた姉妹のうち、姉とそのパートナーの話だが、超常現象の撮影のために設置されるカメラは一台だけで、後のシリーズ作品と比べて本当にミニマルな作り。恐怖の演出も最小限にしてあり、シリーズ作品を先に観ているから、何が起こっているのか前提知識があるが、そうでなければ正体不明の気持ち悪さが最後まで続くだろう。これはやはり1から2・3、と順番に観てゆくのがいちばん楽しめそう。

 ただ、結末を知っていても楽しめないかというとそういうことはなく、恐怖にさらされるカップルのやりとりと、カメラを向ける/向けられるという視線の関係を見ているだけでもまったく飽きない。

 それにしても、姉のパートナーのミカという男、デイトレーダーでプール付きの家に住んでいるのだから、仕事ではやり手なのだろうが、小学生男子がそのまま大人になったようなバカさ加減(こういういたずらやおふざけをする成人男性は、アメリカ映画では「バカ」ではなく「無邪気」というキャラクター設定なのかもしれない)。霊能力者や悪魔祓いを嫌がるのはともかく、そのわりに遊び半分でウィジャボードで霊と交信することを主張したり、彼女がやめてほしがっていることをことごとく実行する。自分の家と自分の彼女は自分が守る、と言いながら、自分がその任に堪えられないことは認められない。

 強い男によって女が守られる、という構図が最後に思い切りひっくり返されるところにカタルシスがあり、怪異描写だけでなくそこまでのプロセスにかなり見応えがあった。