ゲイリー・ドーベルマン『アナベル 死霊博物館』(Annabelle Comes Home、2019)

 アナベルシリーズの脚本家が初めてメガホンを撮った作品。

 ロレインとエドのウォーレン夫妻が自宅の保管室に封印した呪われた人形アナベル。一年後、夫妻の留守に、娘ジュディのベビーシッターを頼まれたメアリー・エレンの友人ダニエラが保管室に入り込んで人形ケースを開けてしまう。

 アナベル人形は、封印を解かれた途端に様々な悪霊を引き寄せ、ウォーレン邸に恐怖を引き起こす。究極の目的はジュディの魂を奪うこと。

 ダニエラは自分の運転する自動車事故で父を亡くしており、霊界と通信して父に謝りたいという一心で、ウォーレン夫妻の解決した心霊事件に関心を持っていたのだった。しかし保管室の品々に触ったせいで、血塗られた花嫁の悪霊に憑依されてしまう。

 ジュディの機転のもと、悪霊から逃れたダニエラはメアリー・エレンと協力し間一髪で人形をケースに戻す。

 『アナベル 死霊館の人形』『アナベル 死霊人形の誕生』を既に観て、アナベルを利用する悪魔の力を知っている観客向けの作品で、アナベルそのものの不気味さは控えめ。ほかの収集品も、それぞれのエピソードが膨らまされるわけではなく、ケルベロスや日本の甲冑など、次々に出て来るお化け屋敷のようになっている。怨念や強烈な悪意の怖さはなく、今回は誰も死なないので安心して観られる。(裏庭の鶏はもしかするとケルベロスに食われたのがいたかもしれない)

 「フェリーマン」に関する伝承が出て来たが、冥界の渡し守で、渡し賃を払うために埋葬の際には亡骸のまぶたの上にコインを置くとか。神話のカロンのことだろうが、日本の六文銭と同じ発想か。

 

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