クリストファー・ランドン『パラノーマル・アクティビティ/呪いの印』(Paranormal Activity: The Marked Ones、2014)

 『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ第4作。ケイティとクリスティの姉妹をめぐる3作目までの物語からいったん離れ、メキシコ系のコミュニティへと舞台は移る。定点カメラではなく小型の手持ちカメラでの撮影へと変化。

 主人公ジェシーの高校の卒業式からビデオ映像は始まる。カメラを回すのは親友のヘクター。共に夏休みを満喫する彼らは、隣人の中年女性アナの家から夜な夜な不気味なうめき声が聞こえると知り、面白半分に通気口からカメラを差し込んで隠し撮りする。そこには美しい全裸の妊婦と、同じく全裸のアナの姿があった。アナは妊婦の腹部に記号を描く。

 それから日を経ず、変人として知られるアナは刺殺死体となって発見される。ジェシーとヘクターは、知人がアナの家から飛び出してくるのを目撃していたが、報復を恐れ警察には告げないことにする。

 やがて、ジェシーの腕に奇妙な記号が現れ、同時に不思議な力を発揮するようになる。面白がって撮影に興じる二人だが、どうやら何らかの悪霊がそばにいることに気付き……。

 正体不明の不気味な現象がたまたまカメラに映り込んだという設定ではなく、お調子者の少年たちがわざわざカメラを持ち歩いて撮り歩くので、アクションが多く全体的に派手な作りだ。じっとりした気味の悪さはあまり感じられない。

 殺人事件があれば警察が現場検証をするだろうし、捜査の手が入ればアナの怪しい儀式も明るみに出るような気がするが、そのあたりには触れられない。もっとも、ギャングが道にたむろしているような地域が舞台で、もしかすると警察そのものがあまり信頼されていないというような、アメリカの観客には説明するまでもない背景があるのかもしれない。終盤では傷害事件の容疑者らしい男が車で拉致されるが、それを目撃した友人たちが知り合いのギャング(もう一人の被害者の兄)に助けを求めるシーンまである。魔女の呪いを受けていると警察に相談しても一笑に附されるだろうが、拉致事件はさすがにすぐに通報すべきでは。何より、手持ちカメラを採用したのはよいが、その緊迫した状況でなぜカメラを放り出さない? というのが気になってしまう。一刻を争う場面で、右手にカメラを構えたまま、左手だけで板を押さえたりするのは無理がある。そもそも超自然現象の話なのだから、合理性を問うても仕方がない気もするが、何か必然性を設定してほしかった。

 ラストでシリーズ第一作に戻る構成に、そういえばあの家に脅えて出て行ってしまった家政婦はラティーナだったかと思い出す。

 

 

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