ジェームズ・ワン『アクアマン』(Aquaman、2018)

 アーサー(ジェイソン・モモア)は、海底のアトランティス帝国の女王(ニコール・キッドマン)と人間の灯台守との間に生まれ、水陸両方で自在に活動できる。父子は海底の政争のために連れ戻された母の帰還を待つが、やがて彼女は処刑されたと知らされる。

 はるか昔、海底に沈んだアトランティス帝国の人類は、水中に適応して進化を続け、陸の人類に知られぬまま高度な文明を発達させていたという設定。

 アーサーは成人して、海の王女で赤毛のメラ(アンバー・ハード)に導かれ、王の証たるトライデントを求めることになる。地上との戦争を開始しようとする異父弟を止めるには、陸の世界と海中の世界の架け橋である彼が王位に就くしかないという理屈だ。力でねじ伏せて正義を実現するというヒーローものだが、その腕力と技術力で海洋ゴミ問題を解決することはできないのだろうかと考えてしまった。

 海中のみならず、陸上のアクションも高所からの移動がふんだんに盛りこまれ、ダイナミックな視点の移動が楽しい。現実に見ることのできない情景を、映画の魔法で目の当たりにしているかのように錯覚させてくれる映像だ。

 それにしても、海底人は水中で呼吸し音声言語で会話することができるそうだが、そういう音声を発するように進化した器官で、陸上の人類の言語を話すことが果たして可能なのだろうか。また、海底人は排泄の問題をどのように解決しているのか、王宮の便所を見学したい気持ちでいっぱいである。

 母を失った(と思っていた)男と、父をむざむざ死なせなければならなかった男は、シリーズ次作で再び邂逅するようだ。

 ジェームズ・ワン監督作品は数本観ているはずだが、記事にしていたのは一作だけだった。

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