キム・テヒョン『第8日の夜』(제8일의 밤、2021)

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釈迦牟尼によって東の果てと西の果てに封印された赤い目と黒い目。二つが再び合わさる時、地獄の門が開かれるという。ある学者が印パ国境でその一つを発掘するが、誰も信じない。学者は自分の発見が真実であることを証明しようと、赤い月の昇る夜にある儀式を試みる。

「それ」は一晩に一つ飛び石をわたり、八つ目で目的を達する。それを遮る役割を与えられたのが僧侶と処女菩薩である……という伝説に基づき、還俗した元僧侶が、最後の飛び石となる処女菩薩を殺害しようと奔走する。

金剛経云々と学者は口走っていたが、眼球のモチーフから始まるのはフロイトの「不気味なもの」だろうし、〈目が開く=裂ける〉イメージの反復はボディホラーの常套ではある。済度を求める亡魂が目の形象で描かれていたのはメモ(目玉模様の熱帯樹の幹みたい)。

二人の若者が登場するが、いずれも血縁関係を切り離されて、新しくつなぎ直された親子関係から宿命を受け継いでいる。少年はその宿命を自分のものとして生きることを選び、少女は最終的にはそれに抗い、少年の助けを借りて桎梏から解き放たれる。


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