チョン・ボムシク『コンジアム』(곤지암、2018)

心霊スポットとして知られる廃病院に入って動画をライブ配信する若者たち。潜入する6人の男女全員がGoProを装着し、主観映像と撮影者の表情を同時に撮影し、代表が病院外のテントでカメラを適宜切り替えながら配信するというもの。

女性陣を怖がらせることで自分たちの優位性を保ちつつ、アクセス数の稼げる反応を引き出そうとする男性陣だったが……。何か怖いものが直接映るわけでもないのだが、まず俳優の脅える表情がまずアップになり、主観カメラがそちらに向けられるまで間を持たせる編集が巧みだ。

「コンジアム」というのは地名「昆池岩」に実在した精神科病院だそうで、肝試しの人気スポットだったがすでに取り壊されているとか。日本の植民地支配に溯り韓国現代史の亡霊が蘇ってくるような話かと思ったが、そういう寓意は読み取れなかった。

ただ、序盤に出て来る女物の下着といい、米国育ちのシャーロットを恐怖させる不気味な「何か」の姿といい、細部に性暴力がほのめかされているようには思われた。穿ちすぎかもしれないが。

 

コンジアム(字幕版)

コンジアム(字幕版)

  • ウィ・ハジュン
Amazon