曾國祥『ソウルメイト/七月と安生』(七月与安生、2016)

 中国・香港合作映画。13歳で出会った二人の少女の対称的な人生。温かい家庭で育った優等生の七月と、出張ばかりで家にほとんど帰らないシングルマザーの娘・安生。七月は難関校に進学し、同級生の家明と交際し始める。安生はようやく義務教育から解放されたと、部屋を借りて自活を始める。安生が付き合い始めたギタリストは、27歳で死ぬと言うのだが……。

 「七月」というありそうにない名前と比べると、安生と家明というのはカップルとしてぴったり来る。原作は安妮宝貝だが、映画ではネットに連載された「七月と安生」という小説について、作者の七月の行方を探しているという人物から安生が接触を受けるところから始まる。さらに期せずして家明と数年ぶりに再会、七月の行方だけが分からない。

 安定した幸福な生涯を送る筈だった七月と、漂泊を続ける安生は、途中で人生を交換していた。いちおう七月がどうなったかは安生によって語られ、映画の中では出産後に亡くなったのが事実ということになっている。

 とはいえ、結婚式の当日に姿をくらますとか、友人の子を引き取って育てるというのは突飛なので(まず親族に連絡がゆくだろう)、そもそも七月という人物自体、安生が自分の希望を仮託した虚構の存在のような気がする。

ソウルメイト/七月と安生(字幕版)

ソウルメイト/七月と安生(字幕版)

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