中国新时期文学精品大系より、谷声应·陈利民编『伤痕』(中国文学出版社,1993年)。盧新華の「傷痕」、茹志鵑の「剪輯錯了的故事」を読もうと借りたものの、期限が来てしまったので返す前に目次を控えておく。
- 陈建功「飘逝的花头巾」★
- 高晓声「陈奂生上城」★
- 龚巧明「思念你,桦林!」★
- 古华「爬满青藤的木屋」
- 金河「重逢」
- 孔捷生「在小河那边」
- 林斤澜「头像」
- 刘心武「班主任」★
- 卢新华「伤痕」★
- 茹志鹃「剪辑错了的故事」★
- 汪曾祺「大淖记事」★
- 王安忆「本次列车终点」★
- 王蒙「风筝飘带」
- 叶尉林「蓝蓝的木兰溪」
- 张洁「爱,是不能忘记的」
- 张贤亮「灵与肉」
- 张弦「被爱情遗忘的角落」
- 张辛欣「我在哪儿错过了你?」
- 张一弓「黑娃照像」
- 郑义「枫」
- 周克芹「山月不知心里事」
- 宗璞「我是谁」
読んだのは★印の作品のみ。盧新華の「傷痕」は、時代の制約を無視して今の目で批評するのも酷な話だろうが、やはり党の無謬性が揺るがないラストにはびっくりというかがっかり。盧新華の作品はこれしか聞いたことがないが、渡米して2004年に『紫禁女』という長編を発表しているそうだ。王安憶の「本次列車終点」はそこから一歩進んで、下放青年が都市に戻ってからの家族との微妙な関係を描いている。王安憶を知ったのは『長恨歌』『桃之夭夭』といった近年の作品だが、八〇年代にはこんな作風であったのかと発見した気分。
陳建功の「飘逝的花頭巾」はある少女に憧れて、彼女を追って北京の大学に合格した青年の話。だが女神のように思っていた彼女が、実は地方出身で文化資本を持たないコンプレックスから人に見くびられないようにと努力していたのだと気づき軽い幻滅を覚える。それでも大事に思っているが、どうやら交際相手に二股をかけられ遊ばれているらしいと知り…。これは今読んでもあまり古さを感じない。自分の中で神聖化していた女性の俗な一面に気づいてしまった幻滅、それでも気持ちが引かれ続けるどうしようもなさ、そしてそんな相手がみすみす不幸になるのを見ていられないが、かといってどう伝えれば気づいてもらえるかわからないという感情の動きは、割と社会背景に関係なく理解されやすいせいかもしれない。