陳凱歌『花の生涯〜梅蘭芳〜』

花の生涯 ~梅蘭芳~ スペシャル・エディション [DVD]

花の生涯 ~梅蘭芳~ スペシャル・エディション [DVD]

 

 DVDで今さらながら鑑賞。『北京ヴァイオリン』で失望して、陳凱歌の以後の作品はフォローしていなかった。京劇の女形といえばレスリー・チャン張國榮)のイメージが強すぎて、レオン・ライ(黎明)はどうだろう、と思ったのもある。
 梅蘭芳ダブルキャストで少年時代を余少群、結婚後をレオン・ライが演じる。二人とも丸顔でイメージにある程度の共通性はあるが、体つきがやはり違う。京劇の改革者としての側面は前半に配され、舞台姿は主に余少群の担当。日本軍に利用されそうになった時にどう対応したかという部分は、長身でがっしりしたレオン・ライが受け持つ。女形にしてはレオンは大柄すぎるのでは、と思ったが、なるほど終盤のクライマックスで大きく見せることを計算しての起用でもあったようだ。
 とはいうものの、才気煥発な少年という余少群に対し、実務は妻(陳紅)に任せておっとりと構えるレオンはどうもつながらず、二人の別な人間のように見えてしまった。
 いかにも中国映画らしい台詞が仕込んであるのは、共演した孟小冬(章子怡)の楽屋入りを梅蘭芳が待つ場面。自分の楽屋には「鍵がかかっていて」と言い訳する梅蘭芳に、孟小冬が手で扉を押してみて「門開著呢」(開いてるわ)と言う。そして二人は大笑いになるのだけれど、これはもちろん孟小冬の扉は彼に対して開いているという意味でもあって、こういう台詞をしゃあしゃあと言えてしまうのがさすが章子怡だと妙なところで感心した。

原題:梅蘭芳
英題: Forever Enthralled
製作年:2008
制作国:中国
時間:148分
言語:中国語
製作:韓三平
脚本:厳歌苓(Yan Geling)
監督:陳凱歌(チェン・カイコー/Chen Kaige)
出演: 黎明 (レオン・ライ/Leon Lai)、章子怡チャン・ツィイー/Zhang Ziyi)、余少群 (ユィ・シャオチュン/Yu Shaoqun)、孫紅雷 (スン・ホンレイ/Sun Honglei)、陳紅 (チェン・ホン/Chen Hong)、王学圻 (ワン・シュエチー/Wang Xueqi)、英達 (イン・ダー/Ying Da)、安藤政信六平直政
撮影:趙暁時
編集:周影
衣装: 陳同勲
美術:柳青