フランク・ダラボン『ミスト』(2007)

鬱映画としてよくタイトルが上がるので観てみた。しかし一緒に閉じ込められてイヤなのは、狂信者よりも危機時に張り切り出す男たちだなあ、連中の指示に従うくらいならこっそりバックヤードから逃げ出して怪物に食われた方がマシだと思った。とはいえ、自分だったらとつい考えてしまうのは、よくできた映画だということなのだろう。どの死に方がいいか選べるなら、私は蜘蛛に卵を産み付けられるのを希望する。自分の体から孵った大量の子蜘蛛が野に放たれることを考えると、わずかなりとも溜飲が下がろうというもの。

ところで、「窓」が開いてあちらの世界から何かが出て来てしまったのなら、軍が戦車やヘリコプターで出動したところで一時しのぎにしかならないような気がするのだが、映画が終わってからが地獄の本番ではないのか? 人間にリカバーできると想定するのは、思い上がりでは。