廖士涵『縄の呪い2』(馗降:粽邪2、2020)

縄の呪い2 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

中華圏のホラーでは不祥のものは雲南か東南アジアに端を発すると相場が決まっているが、これはタイで薬物密売人が崇拝するという邪神の話。縊死者が出るとその縄を焼却する「送肉粽」という儀式を行うそうで、その際には鍾馗を請じるらしい。李康生はその鍾馗を降ろす力を持つが、ある事件以来自暴自棄になった元童乩。

映画としては別に鍾馗でなくとも、関羽でも聖天大聖でも何でも良さそうなものだが……と思ったが、主人公の少女がつけている、赤い糸で水晶の瓢簞を結んだお守りの腕輪が伏線になる趣向。

脇役も人数合わせのように殺されるのではなく、名前を呼んではならない儀式の途中で、捜査に訪れた警察官が警察手帳を示しつつ名乗ってしまうなど、細かい設定が効いている。

拾った呪いの縄で荷物をくくった薬物密売人が、取り憑かれて首を吊るのがガジュマルの木。台湾ではガジュマルは魔除けになるはずで、病院に人を見舞いに行く時には葉をポケットに入れると聞いたことがある。なぜその木で首つりが?と思ったが、これも実は木が降魔の役割を果たしていたことが判明する仕掛け。

虐待されて死んだ女児の霊「椅子姑」の民間伝説も登場。映画では霊感を持つ主人公の少女が、動画配信者に雇われて椅子を使いこっくりさんのように召喚する。どこの国でも昔から幼児虐待があるのかと思うとやるせない。

そういえばマレーシアの張栢榗『青春口吃物語』(2018)に収められた短篇「黃昏出遊」も、少女が妄想を呈した父親に椅子に縛り付けられて命を落とす話だった。ぞっとしたが、よくイメージされる虐待の手段なのだろうか。