ミカエル・ハフストローム『ザ・ライト エクソシストの真実』(The Rite、2011)

父のもとを離れようと神学部に進んだ葬儀社の息子。代々葬儀屋でなければ神父になる、つまり人々の最期を見届ける仕事を継いできた一族だが、息子は心から神を信じることができずにいる。

ひょんなことからヴァチカンでエクソシスムの講座を受講することになったものの、悪魔に憑かれたとされる例はみな精神疾患なのではないかとの疑念が拭い去れない。ベテランのエクソシストアンソニー・ホプキンス)のもとに送られ、「悪魔」との対峙を迫られる。ついには、悪魔の存在を認め、したがって神も存在するとして信仰を堅固にするに至る。

アンソニー・ホプキンスの館には猫がやたらとうろちょろしている(ローマには猫が多い由)。魔女のトーテムということか、toad もfrogもひっくるめて、かわいいケロケロちゃんたちがたくさん登場するのもポイントが高い。

狐憑きや悪魔憑きは、服薬で軽快することもあるそうだが(少女が奇声を発したり四つ足で這ったりと狐憑き様の症状を呈することはままあるのだそうで、漢方医は甘麦大棗湯を処方するらしい)、医療であれ宗教であれ、苦しみを取り除くことを目的とする以上、精神疾患か否かという線引きは自ずと問題にならなくなる。