開芭樂票(空手形を切る)

「說到做到講信用 這3星座不開芭樂票」(自由時報)という見出し。

news.ltn.com.tw 萌典で「芭樂票」の項目を引いてみると、

空頭支票的俗稱

とある。「空頭支票」は不渡り小切手、空手形、転じて実行されない約束のことだが、どうして「芭樂」(グアバ)小切手というのだろう?

芭樂票(pat⊦-laˋ-p‘ioʟ)──空頭支票 | 臺灣話的語源與理據(劉建仁著)

 上の記事によると、日本語の「不渡り手形」から台湾語でもそのまま「不渡票」というようになり、単純化すると「不渡」から転訛して台湾語グアバの発音と同音になったということらしい。つまり果物のグアバとは特に関係ない。

 グアバといえば、ほかに「芭樂歌」という表現もある。検索するとBalladに由来するという説が出て来るが、日本語の「バラード」とは違って、主に安っぽいべたべたした流行歌という否定的な意味で用いられているように思う。

 王晶バリー・ウォン)の映画『最佳損友』(1988)に、神父が悩める主人公に「悪態をつきたくなったら果物の名前でも唱えておけ」と勧め、言いつけに従った主人公の「香蕉你個芭樂」(無理に訳すなら「おまえのグアバをバナナしてやる」?)という名台詞があった。

  グアバは一々皮を剥いたり種を取ったりする必要がなく、切るだけで食べられる簡便な果物だが、親しみやすいぶん高級感に乏しく、ひと山いくらのありふれた庶民的なイメージのようだ。