Nizam Razak『メカアマト』(Mechamato、2022)シーズン2

 マレーシアの3Dアニメのシーズン2。少年アマトが、相棒のメカボットとともに、身の回りのモノを「メカナイズ」して悪のロボット(robot jahat)と戦うアクションもの。各話20分程度でエンディングには毎回メカアマト工作コーナーもある。

 シーズン1の続きで、ロボットたちは地球に不時着した宇宙船から脱走した受刑囚という設定。基本的には1話完結だが、シーズン2はだんだん連続性が見えて来て新展開の予感で終わる。

 

zacco-q.hatenablog.com

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 シーズン1に続き、Netflixのマレー語音声・字幕で辞書を引き引き見た。Netflixには日本語は吹き替えのみで字幕はない。固有名詞は公式の日本語表記は確認しておらず、マレー語各話の紹介とともに、覚えたマレー語のフレーズ(字幕を書き写し、口語体が字幕で改められている部分は、聞き取れた範囲で直した)をメモしておく。

https://www.netflix.com/title/81620556

 

第一話 Asam Garam Kecam(レビューVSシェフ)

悪のロボット:Garamsey

 
 食べ歩きビデオの配信が趣味のディープ。しかしカリーパフの空洞が大きすぎるとか、かき氷のチェンドル(緑の細長いゼリー状のトッピング)の長さが不揃いだという意味不明な理由で星一つをつけ、マーラたちにたしなめられるが、気にする様子はない。新しく開店したイタリアンの屋台でも、試食する前に「そんな名前の料理はまずいに決まってる、星一つ!」とやって悪のロボットGaramseyの恨みを買い、夜道を襲われて拉致されるはめに。あわやピザにこねられて焼かれようとするところで、アマトたちに救われる。
 
 かき氷屋台のおばさんは、クバヤに髷を結ってかんざしを差したニョニャ・スタイル。この回ではメカナイザーがスマートフォンの代わりに使えることが判明した。
 
Sedapnya.(おいしそう)
Sedap betul baunya.(本当においしそうなにおいだ)
*自分が食べているわけでなくても使えることが判明。
 
Tak sabarnya tak makan.(食べたくて我慢できないよ)
Ada kecemasan!(非常事態だ!)
Siapa agaknya mangasa aku yang seterusnya? (おれの次の犠牲者は誰かな?)
 
Rezeki janggan ditolak.(棚から落ちて来たぼた餅を断る手はないぞ)
*di-動詞の受動文と rezeki(幸運)の語をメモ。中国語なら「不吃白不吃」と言いそうな場面での台詞。
Belum cuba, belum tahu!(試してみなきゃ分からない)
Biar aku halang robot ini.(僕がこのロボットを止めるから)
*biar(~させる)の用例。「私に~させて」のような積極的な場面での用例を採取。
Terimalah nasib kau!(おのれの運命を受け入れよ!)
Nasib baik sempat elak.(幸い避けられた)

*nasib の用例を二種類メモ。

Jangan lupa beri tanda suka dan kongsi dengan semua……(likeとシェアをお忘れなく)
 *kongsi(公司)が share の意味にもなるのに驚愕してメモを取った。「公司」の当初の互助組織としての性質から動詞化したようだ。
 
第二話 Bunian & Raksasa(小オニと親玉オニ)

悪のロボット:Ro-Jack & Friendkenstein

 暗くなるまでジェミー先生に居残りを命じられ、課題の製作に取り組むピアンとアマト。マーラとディープはそれに付き合ってやる。怖い話が好きだが人一倍怖がりのディープが、用具室に現れるトヨルの怪談を語る。そこにトヨルそっくりのロボットが現れ、巨人型ロボットとともにピアンを誘拐する。
 
 ピアンを奪還すべくアマトたちは奮戦するが、アマトは敵の手にかかってしまい、メカボットにマーラの車椅子をメカナイズして戦ってもらうことに。常日ごろ体になじんだ車椅子をマーラは自在に操縦し、ロボット二体を倒すことに成功。しかし二体を再収容しようとするアマトに、ピアンは「待って!」と声をかける。
 
 トヨルそっくりの小型ロボット「ロジャック」は、宇宙船の墜落時に重傷を負った巨人型ロボット「フレンドケンシュタイン」を発見。周囲を探し、修復不能となったロボットの部品を利用して修理してやるものの、ぴったり合う部品の数も足りない。学校に忍び込んで探していたところ、手先が器用なピアンに目をとめ……という経緯だった。ピアンは壊れた足を修理してやる。
 小鬼の姿をしたいたずら好きのマレーの妖怪トヨルと間違われるのは、様々な部品をくっつけて修繕する機械工ロボットのロジャック。野菜と果物を混ぜたマレー料理の名から。penunggu(精霊)と間違われる巨人型ロボットはロジャックに救われたお友達で、フランケンシュタイン博士の作った怪物にちなみ Friendkenstein と命名されている。
 
Tolong hulurkan screwdriver itu.(そのネジ回し取って
Kau sepatutnya tolong Pian, bukan tolong tidur!(おまえはピアンを手伝うべきで、居眠りを手伝うべきじゃない!)
Cepat siap, cepat balik.(早く仕上げて早く帰ろう)
Banyak robot jahat yang aku kena kalahkan.(倒さなきゃならない悪のロボットがたくさんいるんだよ)
Kalau kau balik dan siapkan tugasan itu, tak perlu kena balik lambat begini.(帰って課題を仕上げていれば、こんなに遅くまで居残りしなくてよかったのに)
Jimat masa dan wang.(時間とお金の節約になるよ)
Selepas ini, tangan aku melekit lagi.(それから手もベタベタにならないし)
Jangan risau.(心配するな)
Sementara kamu semua buat kerja, biar aku hiburkan dengan satu kisah seram yang terjadi di sekolah kita ini.(君たちが宿題をしている間、この学校で起きた身の毛もよだつ話をひとつしてあげよう)
Mana ada takut.(どこが怖いもんか)
Siapa suruh kau tendang tangan dia!(誰があいつの手を蹴れと言った!)

 

Kenapa pintu bilik stor itu terbuka?(どうしてあの保管室のドアが開いてるんだ?)
*結果状態を表すter-動詞の用例を採取。
 
Kau kena dapatkan semula!(君、取り戻さないと!)
*semula(~し戻す、~し直す)の用例をメモ。
 
Aku cari merata tempat.(あちこち探したんです)
*「あちこち」は sana sini のほか merata tempat(いたるところに)をメモ。
 
第三話 Skru Yang Menakutkan(おどかさナイト)

悪のロボット:Scarescrew

 脱走した悪のロボットたちは再度捕らえられた後、アマトとピアンによって定期的に問題を克服するためのグループセッションを受けている。人間でいうアンガーマネージメントや依存症の対処だが、横からメカボットがちょっかいを出してその悪癖を刺激するので、なかなか目標を達成できない。問題なしとみなされたロボットたちは、解放されて地球の人間たちと共存している。家事ロボットとして働くスモライや、冷凍能力でアイススケートリンクを作るのに貢献しているスジョックなど。
 
 問題なしとの判断はピアンとアマトに任されているが、外からの基準で不適合ロボットを「悪のロボット」として選別し、リハビリテーションで「回復」させるという設定には若干の違和感を抱きつつ、それでも過ちの後で他者との関係を奪うのではなく、つながりの中に居場所を取り戻させるという方向には安心感がある。
 
 「スケア!」と叫んで人をいきなり驚かせる悪癖が抑えられないカカシ型ロボットのスケアスクリュー。グループセッションの途中に停電した隙を利用し、逃げ出してしまう。驚いた相手はしばらく硬直状態で身動きできなくなってしまうため、甚だ迷惑な存在である。おまけに人を脅かせば脅かすほど力をつけるという厄介な性質で、野外映画上映会でいっせいに観客を脅かした彼は、巨大化してちょっとやそっとの攻撃では効かなくなってしまう。
 
 野外上映の映画『Jumpy the jumping ghost 3D』のポスターにはポチョン(pocong)の絵が描かれている。これはマレーシアの幽霊で(インドネシアにも伝わると思う)、全身を白い布で包まれ、ぴょんぴょん跳んで移動するとか。棺に収めず白い布で遺体を包んで土葬するイスラーム式の葬儀から、墓から出てきた幽霊の姿も埋葬時のままで想像されるのだろう。
 
Terpaksa bagi orang lain makan.(他の人に食べてもらうしかないか)
Mulai hari ini, aku janji akan takutkan sesiapa lagi.(今日からもう誰ひとり脅かさないと約束します)
Sekarang, dah boleh kawal kemarahan?(これでも怒りを抑えられるかな?)
Soronoknya dapat takutkan orang semula!(また人を脅かせるようになって楽しいなあ)
Kau sudah dikepung!(お前はすでに包囲されている!)
Saya bukannya sengaja.(わざとじゃないんです
Lajunya dia lari.(あいつ逃げ足が速いな)
Simpan bakinya.(おつりはとっておいて
Patutlah tak berkesan.(どうりで効かないわけだ)
Aku sudah lali dengan lampu kecil itu!(もうそんな小さいライトには耐性がついてるんだ!)
Cepat, buat seperti aku!(早く私のまねをして!)
Ada kemajuan akhirnya.(ようやく進歩したな)
Padan muka.(ざまあみろ

 

第四話 Dunia Mechanizer(メカナイザー・ワールド)

悪のロボット:King Boxell, Rocketfish, Koncho-koncho

 メカナイザーのメモリがいっぱいでルビカの動きが重くなる。ピアンが触った後で解決したかと思いきや、悪のロボットたちが逃げ出したと聞かされ、アマトたちはピアンの父が作ったコントローラーを使って自分たちをデジタル化し、メカナイザーの中に入る。
 
 犯人は第1シーズンで勝手に城を築いて捕まったキング・ボクセル。メカナイザーの中はすっかりブロックの世界になってしまっていた。アマトたちも再びブロック化されてしまう。キング・ボクセルの変身したドラゴンに対抗し、アマトは同じくブロックで龍を作り、メカナイズしようとしたものの、彼の工作の腕では飛龍は再現できず、尺取り虫のような姿に。しかし敵の吐いた火を呑み込んで大きくなるという特質が発見され、キング・ボクセルを再度打ち負かすことに成功。しかし、今回の事件の影にはコンチョたちが暗躍していたことが分かる。それはさておき、元の世界に帰ろうとするアマトたちだが、ピアンにも帰り方が分からないことが判明。さあどうする!
 
 龍(naga)と蛇(ular)という単語を覚えた。そして一人だけマレー語が話せるコンチョが、コンチョ語を通訳する際に、相変わらず微妙にトーンを和らげているところに通訳者の哀愁を感じる。
 
 そしてメカナイザー、スマートフォンの代わりにウェブ閲覧ができるのは知っていたが、アラーム機能もついていて予定した時間にルビカが起こしてくれるとは……。
Penggera aku tak burbunyi lagi pagi ini.(アラームが今朝は鳴ってないんだ)
Kau tetapkan penggera supaya boleh bungun awal.(朝起きられるようにちゃんと目覚ましをセットすればいいのよ)
 目覚ましのアラームはpenggeraだと知る。
 
Kenapa kau bersiap macam nak pergi sekolah pula?(どうして学校に行く支度してるの?)
Sepatutnya, dari awal beta dah hapuskan mereka.(もともと彼奴らを朕がとっくに滅ぼしているところだったのに
Semakin banyak dia makan, semakin besar dan kuat jadinya!(彼は食べれば食べるほど大きく強くなる)
semakin~, semakin……(~すればするほど……)の用例を採取。
第五話 Permainan yang Bahaya(危険なゲーム)

悪のロボット:Arcada

 ゲームにはまって際限なく遊び続けるディープとメカボット。呆れて「ほかのゲームにしたら」というアマトを、ディープはゲームセンターに連れて行く。長く閉店していたはずだが、中のゲーム機はまだ遊べる。そしてそこには悪のアーケードゲーム型ロボット・アルカダが潜み、子供たちをコインに変えてコレクションしていたのだった……。
 第4話でブロック世界から出られなくなったかと思いきや、無事に脱出していた様子。今回はマーラの登場はなし。
 アルカダの台詞が英語なので、今回はあまり用例を拾えなかった。
Jangan terlalu yakin.(調子に乗るな)
*yakin(自信がある)
 
Jangan pandang rendah dengan kedai arked ini.(このゲームセンターを見くびるなよ)
*pandang rendah(見くだす)
 
Aku memang sentiasa bersedia!(いつでもかかって来い!)
Ada rasa tak puas hati nampaknya.(まだ遊び足りないみたいだな)
*puas hati(満足する)
第六話 Botol Plastik Royale(プラスチック・ファミリー)

悪のロボット:Plastico

 アマトとピアン、ディープは川の上流にキャンプに行き、川遊びとバーベキューを楽しむ。自宅にプールがあるくせに水が怖いピアンはバーベキュー係。これまで気付かなかったが、ディープはベジタリアンらしい。ピアン特製のソースのボトルがいつのまにか川に落ちて流されてしまう。
 
 ペットボトルが川に大量に廃棄されているのを目にして激怒するジェミー先生。ボトルを再利用する方法を考えよとの課題を出す。そのため、川にボトル拾いに出かけたアマトたちは、プラスティコというロボットに遭遇する。プラスティコは捨てられたボトルたちに名前をつけ、子供としてかわいがっていた。そしてその中には「ピアン」と書かれたソースのボトルも含まれていた……!
 
 アマトが教室で取り出すテイクアウト料理のビニール袋は、昔日本でも水槽に沈んだ豆腐を買うと入れてくれたようなナイロン紐で提げるポリ袋。ジェミー先生が「分解される」の意で"terurai"と言ったのを、アマトは「ほどける」と勘違いし、紐をほどこうとする。そういえばシンガポールでも、麵など汁気のある料理もこういうポリ袋に入れて持ち帰りだった。
 今回もっともひどいとばっちりを受けたのは、たまたま近くにいた青いニワトリ。発射されたあの子は大丈夫だったのだろうか。
 水の描写が美しい。
 
Menjaga sungai adalah tanggungjawab kita!(河川の愛護は我々の責任だ!)
*接辞はないのにやたらと長いtanggungjawab(責任)の語を知る。
 
Jadi, saintis cipta plastik untuk gantikan kertas.(それで、科学者は紙の代替としてプラスチックを発明しました)
Plastik mudah dicipta, kos murah dan boleh digunakan semula.(プラスチックは製造が簡単で低コスト、そして再利用ができます)
 
Oleh sebab ia terlalu senang untuk dicipta dan murah, manusia mula tak ambil kisah.(それはたやすく作れて安価なため、人々は注意を払わなくなりました)
*oleh(~のため)の用法をメモ。
 
Mereka buang sesuka hati.(彼らはてきとうに捨てました)
*sesuka hati(好き勝手に、気ままに)
 
Kamu semua tahu berapa lama untuk plastik terurai dengan sendirinya?(皆はプラスチックが自然に分解されるのにどれだけ時間がかかるか知ってるかね?)
 
Kamu semua tak tahu konsep jangan ikut robot tak dikenali.(知らないロボットについて行くなって概念はないのか)
*tidak dikenali(よく知らない)
 
Tak elok kita balik tanpa izin tuan rumah.(家の主人に断らずに帰るのはよくないよ)
*tanpa(~なしに)
 
第七話 Perlumbaan Destar Prix(スピード兄妹)

悪のロボット:CarBro, JetSis

 
 庭の鉄くずは何かと尋ねるスモライと猫のおえんさん。突っ込んで壊れたゴーカートだと説明するアマトは、去年のカーレースでの出来事をスモライに語る。
 
 自分で組み立てたゴーカートでカーレースに参加するアマト。意地悪な二人組ブラとビリに妨害を受けて開始早々にクラッシュ、脱落してしまう。そこに悪のロボット兄妹(?)カーブロとジェットシスが登場。捕まえたいならレースに勝ってみせろと挑発し、ピアンやマーラの車を攻撃する。自分の力で作った車でないと参加資格を失うからと、メカナイズを拒否するアマトだが、コンチョたちの助けを得て車を修理し再度レースに復帰。
 
 レースの動機は勝つことではなく、自分の力でやり遂げることだとスモライに語ったアマトは、今年もこの車でレースに参加する準備を始める。
 
 レースの場面が中心なのでセリフが少なく、終始この回は疾走感がある。霧のけぶる山すそのコースを走ったり、コンチョたちの仕掛けで途中でジェットコースターのようなコースをフルスピードで走る描写にゲームのような楽しさが。
 
Sakitnya sayap aku!(が痛いぞ!)
*メカボットの頭の両側でぱたぱたしている物体、耳かと思ったらsayap(翼)だそうだ。
Ke tapi! Bula dan Bili nak lalu!(端に寄れ!ブラとビリのお通りだ!)
 
Jangang terburu-buru. Minum dulu.(あわてなさんな。ひとまず飲んで)
*terburu-buru(焦る)
 

Kami akan siapkan dalam sekelip mata!(ただちに準備して進ぜよう)

*sekelip mata(一瞬で)
 
Aku tiada pilihan lain.(僕にはほかの選択肢はない)
 

Ish, rimas betul!(もう、うっとうしいわね!)

 

Balas dendam untuk Sis!(私の復讐をして!)
*balas dendam(復讐する)
 
Mereka boleh bergabung?(彼らは合体できるの?)
 
Mereka dah hampir garisan penamat!(彼らはもうゴールライン手前だぞ!)
*hampir(~しそうだ)

 

第八話 Cone-Nichi Wa!(コーンニチハ)

悪のロボット:Konchozoku

 
 コタ・ヒリールの街には鉄道が通っていることが判明。夜の列車から降りて来たのは、コンチョたちにそっくりの三角コーン型ロボット。彼らはコタ・ヒリールにコンチョランドを建設すべく降り立ったのだった。
 
 一方、コンチョたちは社会復帰のトレーニングとして、フードコートでかき氷屋の手伝いをしている。SNSにはコンチョクラブのハッシュタグまで作られ、活動後一週間で人気者に。そこに道路が封鎖されたという知らせを受け、アマトたちと行ってみると、何と地球に墜落した時に生き別れとなっていた一族の仲間たち「コンチョ族」のしわざだった。再会を喜ぶ一同だが、実は一族の序列ではコンチョたちより「コンチョ族」の方が上であり、アマトとピアンではなくコンチョ族のボスに従わねばならなかった。コンチョたちはアマトたちが抗争に巻き込まれることを避けるため、コンチョ族のボスに降伏し、コンチョランドの建設に尽くすことにする。
 
 しかし心配でならないアマトは、メカボットと一緒にコンチョの姿に変装して潜入。「コンコン!コンニチワ!」とごまかすが、メカボットが発した「コンバンワ!」がコンチョ族の怒りをかい、襲われるはめに。アマトたちと一年も一緒に過ごしていたコンチョたちは、ついにコンチョ族に反旗を翻し、双方合体しての死闘が演じられる。アマトは粘着テープをメカナイズして相手の動きを封じ、コンチョ族の捕獲に成功。アマトに帰順した彼らは、ほかのコンチョたちと仲良くコンチョランドの解体作業に従事するのだった。
 
 暴走族ファッションでなぜか「合格」の鉢巻きをしたコンチョ族たちに、一人だけピンクと水色の女子コーン「L」が混じっている。すっかり彼女に魅了されている喋れるコンチョは、LはloveのLだと説明するが、絶対レディースのLだろう。女子コーンがボスの言葉を怒りの度合いも再現しつつ通訳するのに対し、気弱な男子コーンは相変わらず大いに省略して訳している。
 
Akhirnya, semua robot Koncho bersatu setelah terpisah sekian lama.(ついに、長いこと別れ別れになっていたコンチョ・ロボットたちが皆集合したの)
*setelah(~の後で)の用例をメモ。
 
Sekarang, dah tiba masanya untuk Konchozoku bersatu semula!(今、コンチョ族が再び一つになる時が来たの)
*sudah tiba masanya untuk~(~の時に至った)をメモ。
 
Sebab kedudukan kumpulan Konchozoku ini lagi atas daripada kami.(コンチョ族の地位は僕らより上だからです)
*kumpulan(グループ)とKonchozokuの「族」が重複しているが、マレー語では「コンチョ族というグループ」のように説明を要するということだろう。
 
Secara teknikalnya, kami perlu ikut kata Koncho Bozu.(テクニカルには、僕たちはボス・コンチョの言うことに従う必要があります)
*Secara(~的に)の用法。Koncho Bozu はカタカナ発音の「ボス」を転写するとマレー語話者には"bozu"と聞こえるということか。坊主ではない模様。
 
Jangan sentuh dia!(彼に手を出すな!)
*sentuh(接触する)が「手出しする」の意で用いられる用例をメモ。
 
第九話 Cuaca Moody(気まぐれ天気 )

悪のロボット:Cloudiva

 ジェミー先生から空気力学の課題を出され、飛行する物体の製作に取り組むアマトたち。そこに雨と風を操る雲の女王クラウディーヴァが登場。気を利かせて好意で雨を降らせてやっているのに、感謝を知らないこわっぱめが! と激怒した彼女は、豪雨を降らせてコタ・ヒリールの街に洪水を起こす。アマトとピアンは、メカボットと一緒に空に向かい、雲の城でユニコーンに乗ったクラウディーヴァと対決する。
 
 ジェミー先生は常に課題の採点で、ディープのシンプルな成果物に高得点を与え、せっせと工作したアマトとピアンは遠慮会釈なく不合格にする。ちょっと一方的ではないかと思っていたが、よく見てみると、アマトとピアンは課題の条件を問わず、とりあえずモーターをつけて機械化で解決しようとするのでダメなのだろう。風力を利用したおもちゃ、つまりマーラの凧やディープの竹とんぼが高得点という評価基準は理解できた。「メカナイズ」して悪のロボットと戦うのがコンセプトではあるのだが、各回のエンディングに工作が紹介されるように、理科の知識を身近な形で応用することを促しているらしい。アマトが何を抗弁しても「言い訳だ!」と頭から決めつけるジェミー先生だが、授業には熱心で生徒たちにはそれなりに慕われているようだ。
 
 この回は、気取ったクラウディーヴァがmeN-動詞を多用するので単語調べに苦労した。ショートカットしてマレー語チュウ太の力を借りた。

malay.chuta.jp

洪水の様子を報じるレポーターもmeN-動詞を多用しており、日本語なら漢語で表すような大人向けの言い回しによく用いられるのだろう。
単語を調べた割にこれはというキーフレーズが少なく、書き抜いた例文は三つだけ。
 
Betul, aku pinjam. Pinjam sepanjang hayat!(そうだとも、借りたんだ。一生の間な!)
 
Aku susah-susah bangun pagi, niat baik untuk nak tolong orang!(わざわざ朝から人助けのために善意で起きてきたのに!)
 
Bukan saja menepati konsep aerodinamik, malah dapat hilangkan tekahan saya melihat projek Amato dan Pian!(空気力学のコンセプトに合致するばかりか、アマトとピアンのプロジェクトを見て受けたストレスを消してくれた!)

*「~のみならず」は"bukan saja"でよいとメモ。

第十話 Permainan Papan(ボードゲーム帝国)

悪のロボット:Fulus

 
 図書館で勉強会を始めたものの、すぐに飽きるアマトたち。10分だけ休憩、とマーラが飲み物を買いに出て行った隙に、アマトとピアン、ディープはボードゲームの棚をあさる。見慣れないゲームをディープが開けたところ、それは悪のロボット・フルスの築いた「帝国」だった。三人とメカボットはゲームの中に吸い込まれてしまう。
 
 ゲームの舞台はコタ・ヒリールを模した街。サイコロを二つ振って出た目の数だけ進み、止まったマスにある店を購入できるという仕組み。すでに他のプレイヤーが所有している店のマスに止まった場合、商品を購入しなければならない。破産すると「監獄」行き。メカボットはさっそくカリーパフやチェンドルの店を購入し、夢中で食べる。彼を導くのは脳ではなく胃なのである。
 
 ピアンの両親は不在がちで、一人っ子のピアンはいつも帰宅すると豪邸で一人だが、「このゲームなら前に父さんと母さんと遊んだことがある」という台詞が出てきて、よかったよかったと安心。そしてマレーシアの学校図書館には、ボードゲームが収蔵されているのが普通なのか、それとも単にアニメだから?
 
 ゲームに関する表現をいくつかメモ。
Apa kata kita rehat sekejap?(ちょっと休憩するのはどう?)
Tangan sudah jadi penyepit!(僕の手がハサミになっちゃってる!)
Baling dadu dulu.(まずサイコロを振りなさい
第十一話 Rancangan Toopee(トゥーピー・ショー)

悪のロボット:Toopee(tupai:ツパイ、リス)

 
 リスの着ぐるみキャラクター、トゥーピーの子供向け番組に招待されたアマトとメカボット。生放送だからとスタジオに入る前にメカナイザーを預けるよう要求される。
 
 スタジオ入りしたアマトは、メカボットとの出会いを語る。ここで始めて具体的にメカボットとの遭遇が語られるが、なぜアマトがメカナイザーを手にし、メカボットのトゥアン(ご主人様)となったのかは示されない。一方、リス恐怖症のメカボットは、トゥーピーの姿に恐怖のあまり硬直して身動きもできない始末。
 
 実はトゥーピーの目的は、アマトを街のヒーローの座から追い落とし、自分が一番の人気者になることだった。手始めに、学校でアマトがジェミー先生に叱られる動画を流して恥をかかせる。さらに、観客席に座っていた人形たちを操ってアマトをはがいじめにし、アマトがいかに暴力的かを示す動画を流す。過去の戦闘シーンから恣意的に編集したもので、敵の攻撃をアマトのもののように見せるよう切り貼りされている。
 
 トゥーピーの不気味さといい、人形が闇の中からわらわら近寄ってくる描写といい、動画による印象操作の手法といい、かなりのホラー回。マレー語の tupai が、ツパイのみではなく、リスも指すということを知る。
 
Sebelum kita mula, boleh serahkan telefon dahulu?(開始の前に、携帯電話を渡して頂けますか)
*serahkan(引き渡す、提出する)は「会場内ではお預かりします」のような場面でも使えるようだ。
 
Terima kasih kerana sudi menerima jemputan saya.(私の招待を快く受けてくれてありがとう)
Aku rela ditamkap, Amato……(私は喜んで捕まります、アマト……)
*sudi, rela(快く~する、喜んで~する)をまとめてメモ。
 
Kamu semua akan terima padah kerana rosakkan rancangan Toopee!(おまえたちはトゥーピーの番組をぶち壊した報いを受けるのだ!)
Terimalah akibat memburukkan kami!(僕たちに恥をかかせた報いを受けろ!)
*terimah padah/ akibat(結果、報いを受ける)をメモ。
 
Semoga berjaya!(成功しますように
第十二話 Out of This Worm: Bahagian 1(最強で最小の敵 パート1)

悪のロボット:Chacix(cacing:虫), Shleep(眠りヒツジ), Chiku

 

 宇宙から着陸した未確認飛行物体。中からにゅるりとイソギンチャクの胴のような虫状ロボット・チャチクスが登場する。大きさは尺取り虫程度。これはエイリアンものの典型にしても、前回に続き子供にトラウマを与える回かも。しかも、アマトの家の裏庭でコッコッと言っているほか、毎回至る所に登場する青いニワトリが、実はスパイ用ロボット・チック(chicken+perisik:スパイ)であったことが判明するという恐怖展開。二回連続でホラー回だ。そしてかわいくて気に入っていたニワトリ、てっきり何羽もいるものと思っていたが、まさか同一個体だったとは。第六話のプラスティコの回で心配して損した。

 
 鈴の音を聴いたものを眠らせるヒツジ型ロボット・シュリープを捕まえようと格闘し、シャボン玉で捕らえることに成功したアマトたちだが、そこにニワトリとチャチクスが登場。ケーブル状の触手を挿入されたシュリープは猛犬に化し、アマトたちに襲いかかる。なんとかメカナイザーに捕らえることに成功したが、それこそがチャチクスの計略で、先に囚われていた悪のロボットたちが再び世に解き放たれるのだった……。
 
Aku dan Oyen-san sentiasa sedia membantu.(私とおえんさんはいつでもお手伝いする準備ができていますよ)
 
Komputer aya aku ada mengesan objek misteri di angkasa lepas.(父さんのコンピュータが宇宙に不思議な物体を検出したんだ)
 
Harap-harap Mara tak apa-apa.(マーラが無事でありますように
*願望・祈願の表現として前回の semoga と併せて harap-harap もメモ。
 
Tutup telinga dulu!(その前にを塞いで!)
 
Sesiapa yang dengar bunyi loceng dia dengan dekat, mesti akan tertidur.(その鈴の音を近くで聴いた者は、皆必ず眠ってしまうの)
 
Dengan risikan dia, aku dah tahu segalnya tentang aku, Amato!(こいつの密偵で、お前のことなら何から何まで知ってるぞ!)
 
Walaupun dia robot kambing biri-biri tapi peranginya macam anjing.(あいつはロボットだけど習性は犬みたいだね)
*人を眠らせるのだからヒツジがモデルのはずだが、ここでは kambing とも biri-biri とも言われている。中国語の「羊」と同様、マレー語でもヤギとヒツジは明確に区別されていないようだ。

 

第十三話 Out of This Worm: Bahagian 2(最強で最小の敵 パート2)

悪のロボット:Chacix ほか過去に囚われたロボットたちの総出演

 

 12話から続くチャチクスの暗躍。他のロボットに尻尾のプラグを差し込み、チャチクスの命令に従うプログラムをインストールして仲間を増やす。なんと買い物に出かけたスモライが最初の標的となってしまう。

 チャチクスが虫(ワーム)の姿をしているのは、コンピューターウイルスの形象化なのだが、改心したロボットや善良なロボットも、ウイルスプログラムによって操られてしまう。

 このアニメでは、工作が好きなアマト(とコンチョたち)、プログラミングが得意なピアンのように先端技術を志向する人物と同時に、お化けや妖怪の話が大好きなディープも登場している。科学技術と超自然の力という二つの世界が合体しているところが面白いのだが、このウイルスにやられたロボットたちの描写もその一例といえるだろう。
霊に憑依されて異常な行動をとるようになった患者を呪術で治すのと、ウイルスに感染したロボットをスキャンして不正なプログラムを除去するのとは、方法が異なるだけで基本的な人間に対する見方は同じであるように思われる。外部から憑依やウイルスの干渉で妨げられても、その人(あるいはロボット)固有の核となる善の部分は損なわれないという、人間に対する信頼であろう。すべては病気(悪霊、ウイルス)がさせていることで、本人には罪はないという見方だ。

 

 戦闘用ではなく家事ロボットになったはずのスモライが、再び戦闘能力を発揮し敵対するようになっても、アマトは信頼を失わない。そのスモライ(相撲+侍)が日本イメージを投影したロボットである点はやはり気になってしまう。マレーシア人の観客世代にとって、特に違和感はないのだろうか。
最後にマーラと思われる影が登場するが、チャチクスがどんな末路をたどるのかは不明のまま次シーズンへ。

kenapa serang kami? Kami taka ada buat salah pun.(どうして僕たちを攻撃するんでしょう? 何も悪いことはしていないのに)

*salah(悪い)←→baik(よい)、何度出てきても覚えられない単語。

Kepala dia ada sesungut macam Chacix.(あいつの頭にはチャチクスと同じ触角があるぞ)

*sesungut(触覚器)

Setakat seekor ayam, kau ingat kami takut?(たかがニワトリ一羽で、俺たちが恐れをなすと思うか?)

*setakat(せいぜい~程度)

Aku hanya perlukan robot yang hebat-hebat!(余は優秀なロボットだけを必要とするのだ)

Betul sangkaan aku.(僕の予想通りだ)

Kau tak ada cara untuk muat naik antivirus dengan lebih senang?(もっと簡単にアンチウイルスプログラムをアップロードする方法はない?)

*muat naik(アップロードする)、dengan + 形容詞(副詞:~に)

Takkan kau tak nak ambil aku?(お前が俺を手に入れたくないわけはないだろう?)

*takkan(~するはずがない)