Taimoor Sobhan『ロヒンギャの夢』(Exodus、2020)

 アジアンドキュメンタリーズで配信を鑑賞。バングラデシュの難民キャンプで生活するロヒンギャの人々。Instagram で生活の様子を発信する10代から20代前半の若者3人に取材する23分間のショートドキュメンタリー。製作はタイ。

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 三人がキャンプのあちこちを歩いて写真を撮る映像と、彼らの写真から構成されるが、写真はいずれもInstagramの画面を模した枠の中で提示される。できるだけフォロワーを増やしたいという彼らにとって、Instagramは世界各地のロヒンギャとつながる窓口でもあり、自分の存在証明でもあり、日々の記録でもあり、報道でもある。

 セルフドキュメンタリーではなく、カメラマンによる第三者の視点からの撮影なのは、当時キャンプ内ではWi-Fiの信号が弱く、動画を撮影してもアップが難しかったことも関係しているかもしれない。ある女性は、自宅からアップロードすると、調子のよい時でも一枚の写真に20分かかると語っていた。ライブ配信どころか、短い動画の公開も難しかったようだ(2023年6月現在、三人のアカウントには動画もアップされているので解決した様子)。

 家屋は竹を組んで造り、防水シートを被せた簡素なもので、ミャンマーで暮らしていた家とは比べようもない。三人が異口同音に言うのは「故郷に帰りたい」。幼児にビルマ語の教育絵本で字を教える場面もあり、ミャンマーに戻って生活することが想定されている。

 バングラデシュでは高等教育の門が開かれていないのも問題だが、二人の女性は、ロヒンギャ女性が教育機会を得られないこと自体に疑問を呈する。18歳の女性は、ロヒンギャ女性が教育を受けていたら、ラカイン州はもっと発展していたのにと訴える。

 Fortify RightsとDoha Debatesによる製作で、Fortify Rightsの下の記事に紹介がある。

www.fortifyrights.orgこの紹介によると、出演した三人の若者 Omal Khair、Dil Kayas、Azimul Hasson のInstagramアカウントは @dilkayas@omalkha@azimulhass とのこと。

 なお、英語字幕版はDoha Debates の YouTubeチャンネルでも公開されている。

youtu.beExodus | Doha Debates and Fortify Rights