ジョナサン・リーベスマン『黒の怨』(Darkness Falls、2003)

抜けた乳歯を金貨に換えてくれるトゥース・フェアリーの怪談。とはいっても魔女狩りものと同じパターンで、はるか昔に死んだ無実の女性の怨念が子供たちを脅かす。

アメリカ映画では小さい子も一人で暗い部屋に寝なければいけなくてかわいそう……とかねて思っていたが、暗闇への恐怖を訴える子供は病気として「治療」され、成人後は男性性の欠如と重ねられ嘲笑の対象になる。

結局、闇に身を投じる勇気ではなく、明るい場所に身を置き続ける知恵が皆を救うことになる。しかし、顔を焼かれた女性が、焼き殺される結末では浮かばれまい。

最後の乳歯が抜けるのは10歳くらいだったような記憶があったが、女の子をダンスに誘うくらいの年齢だと12歳? がちょうど幼年期を脱し男性性を身につける年齢として想定されているらしい。

しかし乳歯があと何本残っているかなんて、よく数えているなと感心した。私は全部抜けたのかと思っていたところ、成人してから歯医者で「これ乳歯が残ってますよ」と驚かれた。人間の歯の数が個体差なく同じだということに、坂口安吾が何か文句を言っていたが、私も同感である。

https://www.imdb.com/video/vi3634364697/?playlistId=tt0282209&ref_=ext_shr_lnk