グレン・ゴーイ&ギャビン・ヤップ『ポンティアナックの復讐』(2019)

昔のキャセイ・クリスのポンティアナック映画のオマージュと思われるシーンが色々。バナナ林とプルメリアの花はポンティアナックにつきものらしく、ボモ(呪術師)が彼女の存在を感知するシーンでプルメリアのカットが挿入される。

ポンティアナックとして蘇るミナは、殺される場面では真紅のサロン・クバヤをまとっている。これはマレーの伝説というより、赤い衣裳を身につけて死ぬと怨霊になるという中国系の伝承から来たイメージの投影かもしれない。シンガポールの実家に帰った彼女が、身重となって戻って来るのはムルデカの日。

ポンティアナックが殺した男の内臓を貪り食うシーンは、四つん這いになった彼女の背後からのショットで、のたうち回る男を女霊が犯しているようにも見える。アイリスアウトで最後に女の尻が残るお色気編集は元ネタがあるのだろうか。オムニバス映画『7 Letters』(2015)のエリック・クーのパートが、かつてのポンティアナック映画へのオマージュだったのも併せてメモ。