アリ・アスター『ヘレディタリー/継承』(2018)

序盤に主人公の精神疾患の家族歴と、本人も夢遊病であることが語られる。「解離性同一性障害」に加えて晩年には認知症も患っていたと説明される死んだ母の「疾患」とは……という筋。

ショック・シーンは予想したほど怖くないが、「えっここでもう?」と思う段階で人体損壊の描写がある。だが何より怖いのは、「話したくなったらいつでも来て」と援助するふりで近寄ってくる人間に限って信じてはならないという、現実によくあるパターンを見せつけられることか。

娘役のミリー・シャピロは確か14歳という設定だったが、仕草や表情、衣装の幼さがどこかアンバランスで絶妙なキャスティング。この少女、忘れた頃に「コッ」とクリック音のような音を発する癖が出るのがまた不気味で、監督はどうやってその設定を思い付いたのか気になる。