楊雅喆『ＧＦ*ＢＦ』

GF*BF [DVD]

　大阪アジアン映画祭、１５本目はシネ・ヌーヴォにて台湾の『女朋友。男朋友』。台湾版のＤＶＤを持っているが、映画祭で上映されるというのでせっかくだからスクリーンで観てきた。ＤＶＤはまだ開封していなかったのでこれが初見。
　プロローグで張孝全が双子の保護者として学校に現れ、書類の上では兄だが実際には父だ、ときっぱり言う。そこで彼らがどんな経緯で家族になったのかが、８０年代に遡って少しずつ明らかにされる。
　三人の半生からいくつかの点を選び出し、その部分だけを描写する構成で、点と点の間にどんな時間が流れたのかは想像に任される。その間には戒厳令解除など台湾現代史の大きな事件もある筈だが、映画が切り取るのはその予感が立ちこめる時点のみで、決定的な瞬間はスクリーンに映らない。
　男二人、女一人という微妙な関係を描いているのだが、私は最初てっきり、桂綸鎂が女にしか興味がないという設定で、張孝全がそれをうすうす察しながら思いを寄せているのに、空気を読まないリディアン・ヴォーンに押し切られて桂綸鎂が恋人になってしまうという話だと思っていた。「ふふん、気づいていないかもしれないけれど、彼女の心はあんたなんかのところには無いのよ」と得意になっていたら、大学生活のパートでそういう話ではないと気づき非常に落胆した。
　心の機微が繊細に描かれているのだが、言いかえれば友情や恋愛の面倒くさい心の動きがクローズアップされていて、長さの割に消耗する映画だった。

原題：女朋友。男朋友
英題：Girlfriend Boyfriend
製作年：２０１２
制作国：台湾
時間：１０５分
言語：中国語
プロデューサー：リュウ・ウェイジャン
制作総指揮：葉如芬（イェ・ルーフェン）
監督：楊雅喆（ヤン・ヤーチェ／Yang Ya-che）
脚本：楊雅喆
出演：桂綸鎂（グイ・ルンメイ／Gwei Lun-Mei）、張孝全（ジョセフ・チャン／Joseph, Hsiao-chuan Chang）、鳳小岳（リディアン・ヴォーン／Rhydian Vaughan）、ブライアン・チャン（張書豪／Bryan Shu-Hao Chang）
音楽：チョン・シンミン（鍾興民）
撮影：ジェイク・ポロック（包軒鳴／Jake Pollock）