ヨハネス・ニーホルム『ココディ・ココダ』(Koko-di Koko-da)

 娘の8歳の誕生記念にデンマークを訪れたスウェーデンの夫婦。しかし娘は誕生日の朝、眠っている間に息を引き取っていたのが発見される。3年後、隙間風の吹く夫婦はキャンプに出かけ、不気味な三人組に惨殺されるタイムループに陥る。

 「どうして私の水着を忘れたの」「アイスの好みくらい知ってるでしょ」と妻が突っかかれば、夫は意地になって、キャンプ場ではなく人気のない山奥に泊まると言い張る。バカンスの計画を立てるくらいだから、お互い関係を修復したいという気はあるのだろうが、棘のある物言いをやめられない。

 妻が「トイレに行きたい」と夫を起こすのが惨劇のトリガーとなる。杖を持った白いスーツの老人、猛犬を連れた黑髪の女、死んだ犬を抱えた巨漢が現れ、ふざけながら妻を射殺、テントの中の夫に猛犬をけしかける。しかし気がつけばまた闇の中で、妻が「トイレに行きたい」と言い出す。犬に噛み殺されたり、女に股間を撃たれたり、巨漢にダイブされて圧死したり、様々な死に方を繰り返したあげく、夫は急いで逃げなければならないことに気付く。しかし妻はループに気付かず、夫の焦りと恐怖が理解できない。

 最後になって、夫がタイムループを繰り返している間に妻が見ていた夢が明らかになる。白猫に導かれて建物に入った彼女は、そこで演じられる影絵芝居を見ていた。二羽のウサギが色鮮やかな美しい鳥を捕まえて籠に閉じ込めるが、思い出のブランコを壊し樹を伐り、それぞれの殻にこもった日々を送るうち、鳥は色あせ羽毛を失ってゆく。

 序盤に妻がデンマークで貝アレルギーを発症するのだが、「何度も食べるうちに発症するのはよくあること」と救急隊員から説明を受ける。一度では反応しなくても、繰り返し摂取するうちにアレルギーを起こす。夫婦の間も同様に、ささいな諍いの繰り返しが悪夢を招く。だがついに、パンツ一枚で血相を変えて妻を車に乗せる夫に、妻も彼の恐怖を感じ取り、脱輪と同時にループから抜ける。

 夫の悪夢に繰り返し現れた不気味な三人組は、娘が死の前日に欲しがったオルゴールの絵をデフォルメした姿であった。テーマとなる童謡は、フランスの《Le coq est mort》だそうで、ココディ・ココダは鶏の鳴き声を模したリフレイン。

 

ココディ・ココダ(字幕版)