エイドリアン・テー『Wira』(2019)

https://www.netflix.com/title/81243243

Netflix配信のマレーシア・アクション。特殊部隊から退役した軍人ハッサンが故郷の町に戻る。幼なじみの警察官が「妹の敵討ちか?」と尋ねるので、妹は暴行されたか殺されたのか、と思うと、冒頭の地下格闘技のシーンで元気に戦って一敗を喫したのが彼女だった。

 

最初から最後までほとんど格闘シーンというサービスぶり。『Interchange』のDain Saidが、主人公一家を無理やり立ち退かせて跡地に工場と団地を建設し、元の住民を懐柔しつつ搾取するヤクザの親玉ラジャを演じている。(「ラジャ」というから設定はインド系なのだろう)

ハッサンをHairul Azreen、幼なじみの親友をHenley Hiiという『アシスタント』コンビが演じる。同じくマレー人と華人の義兄弟という設定だが、Henley Hiiは今回はアクションなし。ラジャのボディガードは『マット・キラウ』のヤヤン・ルヒアン。

アクションではハッサンの妹役のFify Azmi、ラジャの娘役のIsmi Melindaという二人の女優も大活躍。 MMAのリングシーンでは二人ともブラトップのコスチュームで、マレー女性の役としてはかなり大胆な衣装。Fify Azmiはサイドを刈り上げたツーブロックの髪型。

「軍隊に入ってはじめて何のために生きるかを見出した」という台詞があるところはちょっとわざとらしい。妹は最後に空軍に入って戦闘機乗りになるのだが、入隊以降のシーンではスカーフを被っている。マレーシアの警察官や軍人など公務員は、ムスリム女性は必ずトゥドゥン着用のことという服装規定があるのだろうか?

ラジャの工場は表向きはコンドームを作っている。アブラヤシ製品でなくラテックス製品なのはなぜかと考えたが、もしかすると、収用された農地は大半が家族経営のゴム園だったという設定なのかもしれない。農地を失った人々は、工場で長時間労働に従事せざるを得なくなる。

最後に、団地映画であることもメモしておく。狭い廊下や階段、玄関前にごたごた置かれた物がアクションで活用され、またパラン刀に象徴される正義が父から息子に継承される。


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