https://www.netflix.com/jp-en/title/81073964
『ブノハン』の監督によるインドネシア・マレーシア合作の超自然スリラー。
全身の血を抜かれて吊り下げられた死体が次々に見つかり、事件現場の撮影を依頼されたカメラマンは、向かいのマンションの女が関係していることに気付く。
主人公の家族はサバ出身という設定。中央ボルネオの不老長生の「犀鳥の一族」の呪術師(「ボモではなくDayang」だと説明されていた)が出て来るので、神秘のボルネオというエキゾティシズム映画かと思った。しかし主眼は、写真家や人類学者が撮影によって被写体をキャプチャーすることへの問いにある。ベランダから向かいのマンションを盗撮していたカメラマンが、霊魂の解放に手を貸すことになるのは必然だろう。先行作品としてアントニオーニ『欲望』(1967)、エドワード・ヤンの『恐怖分子』(1986)を想起させる。
最初に遺体が発見されるクラブでは、ドラァグクイーン・ショーが開催されている。出演は Shelah。2016年の時点では、このシーンはマレーシア・インドネシア共に審査に通ったようだが、今はどうだろうか。
フードをかぶった謎の男にニコラス・サプトラ、写真館の主人におなじみ周堅華というキャスティング。犀鳥のイメージはダーレン・アロノフスキー『ブラック・スワン』(2010)に通じるところがあるのをメモ。