文牧野『薬の神じゃない!』(我不是薬神、2018)

2014年の「陸勇事件」をもとにした映画。慢性骨髄性白血病の治療に用いられる高価な抗癌剤に代わり、インドからジェネリック薬を密輸販売することになった主人公。最初は営利目的だったが、患者たちの境遇を知るうちに利益を度外視して販売するようになる。

映画の中では「格列寧(グリニック)」と名称を変えられていたが、モデルとなった薬は「グリベック」(イマニチブ)である由。現実の陸勇氏は自身も患者であり、2015年に検察側の起訴取り下げにより釈放されたという。

映画では2002年の上海に背景が移され、主人公は徐勇という名で、インドから強壮剤の輸入販売をして細々と生計を立てている。元妻と息子の親権を争っているが、弁護士を入れた話し合いの席で妻を突き飛ばす始末、離婚もさもありなんというダメ男の設定。

彼に薬の密輸を依頼する患者のほか、病気の娘を抱えたシングルマザーのポールダンサー、英語に堪能でインドの製薬会社との交渉を手伝う牧師、病気が判明してから家族に累を及ぼすことを怖れてひとり上海に来た少年という脇役陣も個性豊か。

主演は徐峥、別れた妻の弟で刑事という(ちょっと出来すぎな)役柄の周一圍が印象を残す。

 

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