レオン・リー『人狩り 中国の違法臓器売買』(Human Harvest、2016)

 法輪功に対する中国共産党による弾圧を告発するドキュメンタリー。アジアンドキュメンタリーズの配信で視聴したが、紹介文には「良心の囚人」とあるのみで、法輪功だと明示されないのが気になる。予告編でも法輪功については言及されていない。

asiandocs.co.jp

製作はカナダ。公式サイトには Falun Gong の文字はあるものの、下方の"LEARN MORE"までスクロールしないと見えない。

www.humanharvestmovie.com

 中国での臓器移植ツーリズムの体験者と遺族へのインタビューから始まり、渡航から一週間程度で移植手術を受けられたと証言される。適合するドナーがそれだけ早く見つかるとは考えがたく、死刑囚の臓器が提供されたという説明では、見積もられる死刑執行数に対して手術件数が多すぎることから、臓器の提供者がほかにいると思われる。
腎臓なら金策のために自ら売るルートもあるだろうし、臓器移植に関する中国の法律の問題点や児童誘拐、人身売買の摘発例を知りたいと思ったのだが、拘束された法輪功の「学習者」(信者ではなく、映像の中では中国語で「学員」、英語でpractitionerと呼称される)たちが生体移植によって秘密裏に処刑されているという告発だった。二箇所に引用される中国語報道は新唐人のニュース映像である。

 武装警察官だという匿名の男性が、そうした生体移植手術の警備の際に目撃したことを語る場面がある。性的虐待を含む壮絶な拷問を受けた女性が、さらに麻酔なしで胸を切り裂かれながら「法輪大法好」と叫んだというくだりは、革命烈士の犠牲のナラティヴと重なることに注意を引かれた。