Teng Bee（馬逸騰）『Biko』（2022）

Netflixで配信中のマレーシア・Astroの映画。シングルファーザーのトラック運転手は、住宅購入資金を仲間に騙し取られ、家賃滞納で息子とともにアパートを追い出され、車上生活を余儀なくされる。交際相手の紹介で息子が子役オーディションに合格したことから、出生の秘密を知ることに……

監督の馬逸騰は台湾・中山大学出身、これまでバドミントン選手の李宗偉の伝記映画などを手がけており、たぶんマレー語作品はこれが初めてではないかと思う。

難病ものでもあり、病名は明示されるのだが、シナリオの都合で持ち出されるようなものなので記さない。病名を出すなら病とともに生きる時間を描かないと、進行する前に命を擲つことを美化するだけにとどまってしまう。

舞台はKL、途中で突然ロードレースが始まる。普通の住宅地や歩道橋を暴走するのだが、いくつも路地があるような雰囲気の通りで、規制線を張るのは難しそう。日本では撮影許可はまず出ないだろうというバイク・アクションが楽しめるが、添え物的な扱いがもったいない。