ハオ・ウー『デジタル人民共和国』(People’s Republic of Desire、2018)

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YYのライブ配信者・沈曼と老李、そのファンに取材したドキュメンタリー。アジアンドキュメンタリーズ配信。マネージメント会社とパトロンの投資先としてのネットアイドル、ファンの「吊絲」文化。結局はプラットフォームであるYYのみが収益を上げる仕組み。娘が配信で稼ぐようになったので、家族全員それで食べてゆくなどという恐ろしい話が展開される。

驚くような巨額の金が動く一方で、少額のギフトを贈るファンもプラットホームを支えている。月収3千~5千元の会社員や、マッサージパーラーの店員、警備員や工場労働者など。

高収入のはずのネットアイドルも、自宅兼スタジオで配信している画面の死角では、両親がテイクアウトの麺を啜っていたりする。高級レストランでの食事のシーンもあるのだが、近所の店で適当に買って来たような料理を容器のままもそもそ食べるシーンが多く、高級車に乗って不動産を買うような生活でも食生活は意外と変わらないのだなと変なところで感心する。どんな富豪も、普段食べているのは近所の食堂で出るような料理なのかも。逆に言えば、貧困線以上の暮らしなら、中国では誰でもそれなりの食事ができる。