ピーター&マイケル・スピエリッグ『ジグソウ:ソウ・レガシー』(Jigsaw、2017)

 シリーズ第一作を見ただけで、あとの六作はすべて飛ばして〈レガシー〉を見る。とっくに死んだはずのジグソウが復活し、ゲームによる猟奇殺人が開始される。出て来る人間がことごとく怪しく、誰が犯人であっても不思議はないというパターン。

 ゲームの中には、サイロに生き埋めにされるというパートがあり、本物のサイロを見たことのない人間は「中はこうなってるのか」と喜んで見たが、アメリカの農業地帯で育った観客は現実的な恐怖を感じるものなのかもしれない。

 ジグソウには熱狂的なファン集団がおり、ダークウェブに拷問器具の設計図などのデータを集積しているという設定。さらにイラクからの帰還兵のフラッシュバックが絡み合い、混乱を誘う仕掛け。

 刑事役のカラム・キース・レニーのいかにも冷酷な渋さがいい。