勝又あや子『「食」の中国語』

 

「食」の中国語

「食」の中国語

 

 勝又あや子『「食」の中国語』(東洋書店、2010)。「食べる」「作る」の二部構成でシチュエーションに応じた会話文が示され、さらに10種類のレシピと北京のおすすめレストランのリストまでついた、会話集兼中国美食指南(入門編)といった一冊。
 大学時代に台湾に行って、コンビニで「袋はいりません」と言おうとしたものの、「不要ふくろ…口袋?袋子?」と逡巡して(“口袋”などという選択肢が出現する時点でいかに不出来な学生だったかが知れる)、結句何も言えなかった悲しい記憶があるが、“我要塑料袋”なんて例文を当時の私に見せてやりたい。
 あと、うなったのは“要一份炒饼。”“素的,还是肉的?”(52頁)という対話。“素的”(肉の入っていない、精進の)に対してはつい“荤的”(なまぐさの)と、「形容詞+的」の形式に揃えて言いたくなるが、実際に用いられるのは“肉的”(肉入りの)。こういう経験を通じて蓄えてゆくタイプの表現も惜しみなく取り入れられており、旅行会話集としては非常に役立ちそうだ。